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聖書概論

詩編

(2020-09-24)

詩 篇
1、性格 A鍵語 礼拝
     B鍵句 29篇2節
   ”御名の栄光を 主に帰せよ。聖なる飾りものを着けて主にひれ伏せ。
C、大 要
  詩篇は原語のヘブル語によると賛美の書と言われている。しかし詩篇は種々の内容を含むもので、
 その傾向は次の様である。
  賛美。感謝。祈祷。苦悩。予言。悔悟。回顧。歴史。
 詩篇は総数150編からなる霊的詩歌をもって変遷されている。
  その内容は過去の歴史、現在の経験、未来に対する予言、信仰など、詩人の神に対するインスピレーションによるものをもつて占められている。それは聖霊によるものを持って引き起された感動、心の動きを詩人の素朴な表現で表したものである。

 詩篇の大半は幕屋、神殿の如き公に於いて、亦私生活に於けるなど、エホバ神礼拝に用いられた。従って神に対して、神を礼拝するという大きな目的がある。

2、著 者
A、ダビデ
 一般にダビデの詩篇といわれてダビデ個人の作の様に思われているが決してそうではない。しかし、その大部分がダビデによって書かれたので代表的な意味がある。彼は150篇の中75篇、書いた。
B、モーセ 彼は90篇。1篇だけ書いた。
       彼の詩篇は詩篇中 最古のものである。
C、コラ  コラはモーセの従兄弟で神の怒りに触れたにふれた。
       その子孫は、神殿の門守、合唱隊を務めた。
       『コラの子の歌』11篇ある。42、44、45、46、47、48、49、84、85、
                     87、88篇
D、アサフ 歴代志時代 神殿で音楽を司どった3組の者の中の1名の者(歴代上15章16節)
                                                                          12篇。50篇 73〜83篇
E、エタン、 89篇のみ。

F、へマン ソロモンと比較された三哲人の一人(列王上4章31節) 88篇 おしえの歌

G、ヒゼキヤ   10篇のみ
   
H、ソロモン  72篇と127篇  他に多くの無名の詩篇がある。
 
  詩篇の作られた方法、歌われた方法
 一般の書物、詩歌の如く思策の結果に産物ではない。即ち聖霊の感動、導きよるインスピレーションを
 得て、それによって作られ、唄った。
 用いられた楽器はハープ。笛。琴。竪琴(シンバル)ラッパ、角笛。
*歴代志上23章5節  4千人はダビデの造った楽器を持って主をほめたたえた。
*出エジプト記15章20節、 女予言者ミリアムは、イスラエルの神を誉めつづみをとり歌い踊った。
*士師記5章 デボラとバラクの讃美
*サムエル後書6章5、14 ダビデは神箱をかき力をこめて歌い踊った。その一生は讃美の一生であった
*歴代志下29章28、30節  ヒゼキヤ王は歌唄う者と共に喜びをもて歌った。
                 (ダビデやアサフの詩を使用)
*ネヘミヤ記12章41、42節  祭司ゼカリヤ、ハナニヤ達はラッパをとって声高くうたった。

著作の時期、年代
 初めの人モーセより 後の人ネヘミヤ(編纂)にいたるまで千数百年間に渡っている。

3、他の文書との関係
a  四福音書とのつながり。イエスさまは詩篇を愛用された。この事は新約と密接なつながりをもつ。
b 詩篇の予言の大半はイエスにあり、来るべきメシヤ・イエスを明白に詳細に現わしている。

4、分 割
 A・ラビによる詩篇の分類、分割、
 (モーセは神より律法の五巻を与えられたと等しくダビデも詩篇の5巻を与えた)
1、人間の幸福、反逆、堕落、回復、 詩1篇〜41(創)
2、苦悩と贖い主の登場贖いの成就、 詩42篇73(出)
3、聖所の於ける儀式、礼拝、     73〜89(レ)
4、放浪               90〜106(民)
5、神の言葉、従順         107〜150(申)
 注、これは1955年改訳聖書と同じ分割である。
B、詩集による詩篇の分割
 
Ⅰ、ダビデの詩集      3篇1〜41篇
1、敵の迫害に対する絶望的な愁訴    5篇−7篇
2、神に対する静かな信頼        34篇、27篇 
3、万軍の主エホバに於ける勝利の歓喜  18篇31−50 24篇7ー10
4、エホバの神殿の律法に対する愛    15篇、24章、25章
5、星と天と太陽の輝き雷鳴と嵐の尊厳(自然の偉大)8篇、19篇、29篇
6、罪を許したもう神の愛とそのあわれみの高さ低さ 32篇34、36篇5−12、
7、永世の希望         16篇10〜17篇14節〜

Ⅱ、第二、ダビデ集   51篇〜72篇
1、第一ダビデ集以前の神殿の存在をしのばせるもの    52篇、54篇、55篇
2、有名なダビデの罪の懺悔詩篇     51篇
3、敵の剣に対する救済の絶叫      57篇〜60篇、63篇、65篇、69篇、70篇
4、回復の希望を歌ったもの       65篇 66篇 67篇 68篇

Ⅲ、コラ集
1、捕囚最後の祭司的嘆息       42篇、43篇
2、エルサレムの荒廃         44篇 
3、王の結婚の歌           45篇
4、イザヤの時代、奇跡的にエルサレムが救助されたことを感謝した歌 46篇、47篇、48篇
5、悪人の繁栄と正しき人の苦難      49篇、
6、尊厳なシオンの都とエルサレムの神殿に対する喜ばしい誇り  84篇、85篇、87篇、88篇、

Ⅳ、アサフ集  50篇  73篇〜83篇
1、深い悲哀を帯びて特に如何なれば 〜 ゆくそのときをへたもうや 〜 の言を用いた詩篇であるが
  その中に主に対する固い信頼がある。

Ⅴ、巡礼集(宮詣での歌)120篇〜134篇
 
Ⅳ、ハレルヤ集  103篇、107篇、111〜〜118篇、 135篇、136篇、
           146〜150篇、
  その他の詩篇(いにしえの人モーセのうた)90篇
         ソロモン    92篇
         ヘマン     88篇
         エタン     89篇
         俘囚の唄   137篇

C、主題別による詩篇の分割
 1、賛美の詩篇
A、自然に啓示されている神への賛美  8篇、19篇1−6節、29篇 104篇
B、民に対する神の愛による神への賛美 33篇、103篇、111篇、113篇、115篇、
                    117篇、147篇
C、神の栄光ある王国に対する賛美、  145篇、146篇、
D、自然と万物の宇宙的賛美      148篇、150篇
  
 2、エホバ神の宇宙的統御に関する詩篇
47篇、87篇、93篇、95篇、96篇、97篇、98篇、99篇、100篇、

 3、王に関する詩篇
A、王の婚姻       45篇
B、王の健康と成功  20篇 21篇 61篇 63篇
C、王の性格     72篇 101篇
D、王の統治     2篇、18篇、110篇、
E、メシヤ的王の憧憬  89篇、132篇、

4、内省的詩篇 
A、世界の道徳的秩序につき  9篇、10篇、11篇、14篇、36篇、37篇、39篇、49篇、
              52篇、53篇、62篇、90篇、92篇、94篇、

B、神の摂理について、   16篇、23篇、34編、91篇、92篇、121篇、125篇 127篇
             128篇、133篇、139篇、145篇12ー15節
C、聖書の価値について     1篇、19篇7−14、 119篇、
D、理想の性質について    15篇、24篇1−6、 50篇

5、感謝の詩篇
A、一般的感謝     107篇
B、国家的危急よりの救助または勝利の歌  46篇、48篇、65篇、66篇、67篇、68篇、76篇
                     116篇、118篇、124篇、126篇、129篇、
                     138篇、144篇1〜11節、149篇
6、礼拝の祝典に於ける詩篇
A、5篇、24篇7−10節、 26篇、27篇、42篇、43篇、84篇、122篇、134篇

 
 7、歴史的詩篇 
 a、民の不信を高調したもの  78篇、 81篇、 106篇、
 b、神の愛、又は能力を強調せるもの。 105篇、114篇、135篇、136篇、

 8、呪いの詩篇
     58篇、59篇 69篇、83篇、109篇、137篇、

 9、悔い改めの詩篇
     6篇、32篇、38篇、51篇、102篇、130篇、143篇、

 10、嘆願の詩篇
 A、救助、保護、回復を願った詩篇
  3篇、4篇、7篇、12篇、13篇、17篇、25篇、31篇、35篇、41篇、44篇、54篇、
  55篇、60篇、64篇、71篇、74篇、77篇、79篇、80篇、85篇、86篇、88篇、
  120篇、123篇、130篇、140篇、141篇、142篇、

 b、答えられた祈り、Aに対する祈り  6篇、22篇、28篇、30篇、31篇、56篇、57篇、

 11、アルファベット的詩篇
     9篇、10篇、25篇、34篇、37篇、111篇、112篇、111篇、112篇、119篇、
   145 篇、

5、使 命
  本書は神御自身、本質、その働きについて歌っている。
A、神観
 創世の時代やモーセ達 放浪のイスラエル民族達の神観よりも、詩篇の神観は水準が高くなっており
より神に近くなっている。亦、人間に身近いものとなっている。その神観は旧約中最高位にある。
 神を人格的な方と見る考え方が強く表れている。

1、神を現象、性質、形象によって記している。論理的ではなく具象的であり、擬人法的表現を多く使用し
 ている。2篇9節 鉄の杖で彼らを打ち砕き・・・・力ある裁き主の表現
    29篇3節 主の声は水の上にあり・・・・・超自然な神、
   104篇3節 雲をご自分の車とし、・・・・・自然を駆使される者として、

2、観念が霊的に深くなり直接その人格を証明されている。
 53篇2、3節、102篇17節、乏しい者の祈りをかえりみ・・・より神が身近にある者として描かれ
 ている。
 103篇13節、父がその子を憐れむ様に・・・父として、 
    33篇15、94篇9〜14節
3、神の神たる所以が超越性を持って力強く高調されている。
 115篇3節、135篇6、7節、18篇9節、138篇6節、139篇、113篇4−8節、
145篇18、19節、

4、人格的な属性を持つて現される。
 a、神は義なる方である。神聖にして裁き主。 50篇6−21節
 b、神の憐みと恵み、愛と真実の神   
    25篇10節、  85篇10節、 57篇3節、 86篇15節
 
 C、神の愛はやさしく真実で不変である。
  103篇13節、68篇5節、89篇27節、27篇10節
  D、詩篇に表された聖徒の内面生活
  エデンの如き麗しさを見ると同時に、一方、人間の悲哀残酷。

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