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聖書概論

ヨブ記

(2020-09-24)

ヨブ記

1、性格  A、鍵語  試 練

      B、鍵句  1章21節

  ”主は与え、主は取られる。主の御名はほむべきかな。

 


C、大 要

 ヨブ記は詩篇的な文体ではない。ヨブ記の特質は歴史的事実を根底として作られた哲学的文学である。

ヨブ記は旧約中最も難解とされている他に比類のない書物である。ヨブ記を単に難解な書物として見過ごさず、正しい理解を持って読めば非常に興味ある書物となる。

 

2、著者

 著者は古来モーセであると伝説されているが、ヨブが主役である所から、ヨブであるとも言われている。

 モーセは(ミデアンの地で羊飼いをしていた頃)尚、アブラハム以後は民族的な神として顕現されているが、ヨブ記の神は、それ以前の宇宙的な感覚を見る。

 


*ヨブについて。

アブラハムの頃の人でカナンの東ウズの地の人である。

非常な豪族であり、その頃、他に比類のない正しい人であった。亦、アブラハムの召命以前、或いはカナン入国以前の物語ではないかと言われている。

 


3、他の文書との関係

 エゼキエル書には、ノア、ダニエルと共にヨブを正しき者の典型として引用している。

 


4、分 割

 A、ヨブの紹介(ヨブの実在と史実性の裏書)1章1−5節

1、ヨブの道徳生活の潔癖         1章1節

2、物質的生活の繁栄           1章2−4節

3、宗教的生活の徹底           1章5節

 


 B、サタンの訴えと禍の襲来    1章6〜2章10節

1、サタンの狡猾と虚偽          1章6節

2、サタンの悪業             1章7節

3、神のヨブに対する弁論と称賛      1章8節

4、サタンの訴え             1章9−11節

5、神の許託とサタンの授受        1章12節

6、災禍の急襲とその連続         1章13ー19節

7、ヨブの無罪              1章20ー22節

8、神のヨブに対する称賛と再びサタンに禍を下すことの許諾 2章1ー10節

 


 C、ヨブの忍耐の果て    2章11〜3章

1、友人の来訪と彼らの悲しみ       2章11−13節

2、自身の受生に対するヨブの呪い     3章1−26節

 


 D、苦悩の奥義に関するヨブと友らの哲学的議論 4章〜37章

1、テマン人エリパズの論旨

     禍いは罪の結果にして苦悩は悔い改めにより解消する。4章〜5章

2、友人に対するヨブの失望とその切望        6章〜7章

 


3、シュヒ人ビルダデの論旨 

   苦悩は悪の存在の確証にして悔い改めによる解消を勧告 8章

4、ヨブの無罪主張と彼の反論        9章〜10章

 


5、ナアマ人ゾバルの論旨            11章

   ヨブは傲慢な独善家でありながら刑罰は実際より軽い。

 


6、友の中傷に対するヨブの皮肉な反論  12章〜14章

   悪しき人は栄え正しき人の苦悩を主張して自己を弁論する。

 


 

 7、エリパズの二度目の非難と友らの激怒     15章

 8、ヨブの悔しまぎれの反論と譴責        16章〜17章

 9、ビルダデの激怒と威嚇による悔い改めの促し  18章

10、ヨブの自己に対する呪いと彼の未来に対する信仰 19章

11、ゾバルはヨブの悪しきを主張し運命を説く    20章

12、悪しき者の現在に於ける繁栄の可能をうかがう  21章

13、エリパズはヨブの悪しきを主張、彼の貧者に対する取り扱いの残酷さを非難する。22章

14、ヨブは自己正義を主張して悪しき人を非難する。 23章=24章

15、ビルダデは義人無きことを主張する     25章

16、ヨブは確信を持って自己の無罪を主張し詳細に弁明する。26章〜31章

17、三人の共の沈黙とエリフの登場      32章〜37章

   エリフの論旨

  ヨブの苦難は罪の結果であるとして神はヨブに不義を糺して試験的に教育していると主張。

 

E 神は大風の中からヨブに質問を度重ねて彼を沈黙せしむ。神が言われた事は微弱な人間の知恵を持って  

  は全宇宙の問題を到底理解し得るものではない。

   特に宇宙の起源、不思議な現象の如きはそれである。 38章〜41章

 


F ヨブの再興と神の御計画   42章

 1、ヨブは神との人格的交わりによって問題を全く理解され、自ら罪を悔い改める。42章1−6節

 2、友らに対する厳格な要求            42章7ー9節

 3、ヨブは祈祷を嘉納され先に倍して報われる。   42章10−17節

 


5、使 命

  ヨブ記の使命、亦、問題点は、正義と愛の神によって創られた、この世界に何故、苦痛と邪悪が存在す

  るのか?その探究と解明にある。

  試 練=

   これは神が人間に与える懲罰ではない。言い換えると人間に益を得させる神の手段である。

  生かす為の神の方法である。試練は苦悩を通して全くへりくだらせる。ヘブル12章56節

  苦 難

   ヨブは苦悩の中を通って友として神を見出した。この体験によってヨブは一切の苦悩をぬぐわれ

   平安を得る事が出来た。

 


6、教 訓

   教訓として人間は苦難に直面して始めて自己の無力を知り、神を見上げる様になる。又苦悩の時

  その原因を追求して自省し遂に悔い改める。試練によって人格的に向上するとも考えられる。

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