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クート師説教集

出エジプト記

(2007-01-24)

序論

1)第2番目の書である出エジプト記に入った。この書の以上に顕著な活気ある書は他に見出すことができない。
真に熱心に研究すれば、実に価値ある書である。

a.この書にイスラエルの民たちのエジプト脱出の記事が記載されている。
即ちイスラエルの民族がエジプトにおける奴隷状態の束縛より解放されて新しい国と新しい団体生活に移ることである。

b.律法の与えられることとモーセの契約の宣言
c.素晴らしい象徴的構造の幕屋の建設
d.モーセの成長より力ある働きに前進していく道のりの記述
e.従来は大多数が血族関係を有する単なる一部族であったものがシナイ山において神の選ばれた、
組織された、整えられた一国民に変遷したこと。

2)
a.全歴史を通して出エジプト記以上に雄大な光景があろうか。
b.シナイ山にて神より受けた黙示よりも厳粛な黙示があろうか。
c.イスラエル人の幕屋より以上に重要な建築物があろうか。
d.モーセよりも偉大な人物があろうか。

e.イスラエル神権政体の基礎よりも以上に勢力ある国家時代があろうか。
以上の事はすべてこの書において土台が据えられた。これらは国民の生活、律法の源泉、また起源であり、
かくしてイスラエルの信仰は組織された。

3)
出エジプト記は正確にこの書の主要なる題目である「出ること」を現すものである。
然し、この書にはもう2つの重要なる題目によって構成されている。それは律法と幕屋である。
この書は贖罪の書である。本書は暗黒と陰鬱とをもって始まっているが、併し栄光をもって終わっている。

神の能力、聖潔、知恵

1.エジプトより脱出すること1?18章

a.計画・・・1?4章
b.妨害・・・5?11章
c.成就・・・12?18章
2.律法19?24章
a.命令(道徳上)
b.裁判(社会上)
c.儀式(宗教上)
3.幕屋25?40章
a.設計・・・・・・・25?34章
b.手間取ること・・・32?34章
c.完成・・・・・・・35?40章

★1?18章までにおいて神の能力を見る。
★19?24章までの律法において神の聖潔を見る。
★25章?40章までの幕屋において神の知恵を見る。
★生活、律法、愛

またイスラエルに関する教訓を憶えよ。

この書においてイスラエルは新しい状態?自由?に導かれ、律法の与えられたことにより、
神権政体という新しい組織に入り、また幕屋の建築により神を礼拝する新しい概念に入ったことである。
彼らは新しい自由、新しい支配、新しい交わりに導かれた。
エジプトを脱出したこと、律法、幕屋によって贖い、再建、和解がある。
また、ここに生活り律法、愛がある。

出エジプト記

エジプトより100万人のイスラエルの民達の出るにあたり、3人の大いなる行為者(立役者)があった。

1)イスラエル人
2)エジプト
3)神

である。

(1)イスラエル人とエジプト

イスラエルの民達がエジプトを出ることは何を意味するか。次の4点を含むと考え
ることができる。

1)まず第一にこれが意味するところは新しい生活への第一歩である。
「この月をあなたがたの初めの月とし、これを年の正月としなさい(12:2)と言われた。
そして4月は正月となった。新しい生活は新しい暦の始めによって記録された。
彼らはこの出来事から新しい国民としてみなされることとなる。

2)エジプトを出ることは自由の始めを意味する。
大きな集団としてエジプトより脱出する民達に向かってモーゼは次の言葉を語った。
「あなたがたはエジプトから、奴隷の家から出るこの日を憶えなさい。
主が強い手を持ってあなたがたをここから導き出されるからである(13:3)

3)第3番目にエジプト脱出の意味するところは新しい交わりの始めである。
これは過ぎ越しの祭りの起源となった。「この日はあなたがたの記念となりあな
たがたは主の祭りとしてこれを守り、代々永久の定めとしてこれを守らなければならない(12:14)
4)第4番目は新しい確信の始めを意味する。「私はあなたがたを取って私の民とし、私はあなたがたの神となる」(6:7?8)

(2)エジプトから出ること

エジプトの地と、そこより出ることは何を意味するか考えよ。特に次の3点を意味する。

1)まず、大きな鱗となっていた不信仰を摘発することができた。エジプト脱出当時、
確かに世界最大の国民であった。偶像の神々は大いなるものとされていた。故に神は言われた。
「私はエジプトの神に対して審判を行うであろう」。そこでついにエジプトの魔術師達は「これは神の指です」と言った。

2)神に反抗するよう企てることの愚かさと罪であることを証明した。
パロは軽蔑したように尋ねた。「私がその声に聞き従わねばならぬ主とは一体何者か」。
しかし主はパロに言われた。「私があなたを長らえさせたのは、あなたに私の力を見させるため。
そして私の名が全地に宣べ伝えられるために他ならない」
(9:16)

3)エジプトでは、この世の型である。

a)物質方面の富と力において(ヘブル11:26)
b)この世の知恵と偽りの宗教
c)サタンの象徴である専横なる暴君パロ
d)権力、野心、快楽の有機体
e)神の人々を迫害する
f)神の真の裁きが行われた(12:29)

十の災害、特に長子の打たれたこと、紅海においてパロの軍隊の水死は来るべき苦難、
審判、現世の制度を破棄する型を示すものである。

(3)神とエジプト脱出
エジプト脱出は神の能力を表した。イスラエル人の心に深い印象を与えた。これより後、
神の民達を解放する神の能力の基準となった。旧約には幾度も表され、殆ど各書巻にこの事が引照されている。
「あなたがたがエジプトの国を出た時のように、私はもろもろの不思議なことを彼らになす」(ミカ7:15)

出エジプト記

(3)神とエジプト脱出(続き)

かくのごとく、エジプトを出る時の詳細な不思議な出来事は旧約の測量の一単位、
基準となったことは驚嘆すべき事である。次の事を憶えよ。

1)驚くべき審判であったことを憶えよ。
エジプト人のすべての長男(パロの長男より始まって地下のひとやにおる捕虜の初子にいたるまで、
またすべての家畜の初子まで)殺されたこと、また紅海においてパロの軍隊が全滅させられたことなどの災害において示されている。

2)一方において驚くべき恵みであった。
家の入り口の2つの柱と鴨居に血を塗ったことによって恐るべき災害より免れたこと、
およびエジプトから出たことはイスラエル人の解放であったことのうちに神の恵みが表されている。

3)また驚くべき力であった。イスラエル人が紅海を渡るために、その水は2つに分けられた。

4)驚くべき導きであった。昼は雲の柱、夜は火の柱となって民達を導いた。

5)食物と水の奇跡的供給によって必要物の与えられることの証明を示された。

6)シナイ山における契約およびアブラハムに対して与えられた契約において神の忠実さを見る。

7)特殊なる手段によって神はご自身の驚くべき謙遜を表された。即ち荒野に幕屋を作らせ、その内に住まわれた。

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