あなたがたのからだを、神の受け入れられる、聖い、生きた供え物としてささげなさい。それこそ、あなたがたの霊的な礼拝です。
(ローマ12章1節)
一、学者エズラ(エズラ記 7章1−10 節)
祭司の家系に生まれたエズラは『モーセの律法に通じている学者』でした。この「学者」を、新共同訳は『モーセの律法の詳しい書記官』と訳しています。いわゆる新約聖書でいう『律法学者』であったのと同時にペルシャ帝国における立場が『書記官』という役人でもありました。
エズラも、次週から見るネヘミヤも、イスラエル人の指導者であるのと同時に、ペルシャ帝国に登用されている役人なのです。エズラは『ペルシャ帝国のイスラエル問題担当の書記官』であり、ネヘミヤは『ペルシャ帝国ユダ州の知事』として任命されて任地として故郷に赴く役人でした。
ペルシャ帝国が緒民族を支配するに当たって、それぞれの民族出身者 (当然、自分たちの民族の言語や習慣に詳しい)の中から優秀な人物を登用して、その民族担当の役人とするのは自然なことでした。エズラもネヘミヤも、そのような役人として故郷に帰還 したのでした。(というより赴任)
二、エズラの帰還(8章21−23節,31−36節)
エズラは、第2回帰還民の指導者として、かなりの数の同胞と共に数ヶ月かけて帰還しました。
役人としてしかるべき正しい統治を決意すると同時に、神のみことばに従う祭司また学者として、神の教えに基づいて国の再建に当たる決意で帰還したのです。エズラにとって仕えるべき主が二人いたのでありません。ペルシャ王は神ではなく、あくまで上司にすぎないのです。まことの神に仕える者として、自分に与えられた社会的使命を忠実に果たそうとしたのです。
数ヶ月の旅は危険に満ちていました。エズラは神の守りを祈り求めつつ、神に信頼して旅を続けました。神は祈りに答えてくださり、一行は安全にエルサレムの到着しました。ネヘミヤの帰還に十数年先立つBC458年の事です。
三、エズラの宗教改革(9章1−10章5節)
帰還したエズラを見たイスラエル人の姿は、予想以上に腐敗したものでした。神殿完成から半世紀あまりたち、人々はいつしか完成時の感激や決意を忘れて周囲の異民族と結婚し、異民族的習慣に染まり、偶像崇拝に走っていました。
エズラが取り組んだ宗教改革の第一のことは律法 (例えば申命記7章1−6節) に従ってこうした異教徒との結婚を解消させることでした。これは、人権的偏見に基づくことではありません。エズラ6章21節にも書いてあるがルツ記やヨナ書など、聖書には、多く外国人の加入の例や外国人に対する神の憐れみの描写があります。あくまで当時のイスラエルにとって唯一まことの神のみに対する純粋な信仰と礼拝の問題です。だれであれ、二人の神に仕えることはできないのです。