バンクーバー便り ‘10.5月 Rev. K.Muramatsu大きな鯨がバン クーバーに現れました。バンクーバーの町をご存知の方ならお分かりになるかと思いますが、フォルスクリーク(False Creek)に10m近くの巨大な鯨(Grey Whale)が入り込んだのです。あのヨットが込み合うヨットハーバーの中に来たのです。フォールスクリークは昔探検家が川と思ったら海の入り江であっ た。それでFalse Creek と名づけられたということです。 そんな狭い川のようなところに鯨が入て来たのです。その鯨は病気でも なく健康なまだ若い元気な鯨でした。どうも、ニシンの群を追っかけてきて入り込んだようです。バンクーバーの人々は大喜びでした。鯨を居乍らにして見れる とは、普段は太平洋の沖合いまで行って見なければならないのが、すぐそばで手にとるようにしてみることができたのですから。もう少し細かく お知らせするなら、その鯨はイングリッシュベイからバラードブリッジをくぐり、グランビルアイランドを通過し、キャンビーブリッジを越しサイエンスワール ドの岸まで遊泳してきたのです。潮を噴き上げると勇壮な音が響き渡り、周囲の高層ビルに反響したのでした。見物人たちはその潮吹きごとに歓声を上げたので あります。しばらく遊泳を楽しんだ鯨は心優しい水上警察のパトロール船にあたかもいたずらな幼子をあやすかのようにして誘導されてイングリッシュベイの沖 合いまで出てゆきました.。いまや新緑と、しゃくなげの花が満開の大自然の美しさに満ちるバンクーバーの街にふさわしい出来事でした。潮吹く鯨と高層ビル群との対象まるでSFの描く平和な世界の様ではないか!動物と人とが共存している街それがバンクーバーであります。 先 日も夜の散歩で道を歩いていると大きな丸々太ったラクーン(洗い熊)の家族に会いました。私がそばに行くと餌をねだってきます。人を怖がりません。たまに はスカンクの家族にも会いますが、それにはちょっとびっくりしますが、何も危害を与えない限り、とてもかわいい人懐っこい動物です。今、カ ラスが街路樹に営巣しています。先日、そんな街路樹の巣から落っこちた、雛を、助けるため、隣近所の人々が出てきて、高い木の上の巣まで高いはしごを持ち 出し危険を冒してその雛を収めた、雛は巣から落ちればその命はないということです。それで人々は自らの危険をも顧みず雛を助けるのです。からすなんてきれ いな鳥でもないし、その泣き声も美しくなくうるっさいばかり、その上いまや増えすぎて困っているというのに。それを助け保護するのです。そしてこのことが 美談として新聞テレビに大々と報道されたのであります。こうしたことで如何にカナダの人々が動物や自然を大切にするかがわかります。動物と 人とが共存することに努めております。ですから街の中にも依然として野生動物が生きています。それで私は家の飼い猫も注意しているのです。夜家から離して おくとコヨーテに食われてしまう可能性があるからです。私の家周辺にもコヨーテが出没するからであります。これも人と動物の共存する故の仕方がないことなのでしょう。今回は動物の話だけになってしまいました。お許しください。主にありて、村松勝三