バンクーバー便り(2010/10)

もう10月も終わりとなりました。紅葉の真っ盛りです。落ち葉の山があっちこっちに出現しています。落ち葉の落ちるかすかな音が聞こえてきます。飼い猫のパンプキンがそのたびに耳をそばたてます。ばかな猫は落ち葉を小鳥に間違えたのでしょう、あきもせず丸々太った体を駆って追いかけます。今朝山を見ると白い冠雪が見え、まさに晩秋の候を呈しています。ご存知のようにカナダの国旗には、赤いもみじがデザインされています。それ故、カナダの秋はまさに国を象徴する季節であります。周辺の渓流には、鮭の群れが必死に遡上しています。秋の自然そのものは麗しく、平和そのものです。 ですが人間の社会はそうは行きません。先日、親しくしていた中国から移住した人と語り合っていたのですが、どういう拍子か、尖閣諸島のことが話題となりました。するとその中国の方がたちまち、感情を高ぶらせ、日本を責めだしました。今までこんなに親しかったのに、まるで今までの親しさが嘘のように、吹き飛んでしまったのです。こちらバンクーバーの中国人向けのテレビ放送は連日、尖閣諸島問題を取り上げ、日本を攻めまくっているとのことです。台湾人も同じように、日本を攻めまくっています。こちら日本人は多勢に無勢でたじたじであります。アア、どうしたら平和に、今までのように親しく交わりができるようになれないものか、と思案しています。 ここカナダは移民社会それぞれ母国に誇りと郷愁を持って生きています。いったん国際問題が起きると、当事国同士の対立が歴然としてきます。皆愛国心が強いです。日本人だけは他の国の人と比べて愛国心は弱いのではないかと思います。 先日、ウェストコーストバプテスト連盟の総会がサイモンフレーザー大学で開かれ参加してまいりました。そこで私が開拓伝道の報告をいたしました。伝道を始め6年が過ぎ、過日、第二回目の洗礼式を持ったことを報告しました。すると参加者のみんながとても喜んでくださいました。6年間で二人という数にみんな驚いたようです。それだけに喜びがひとしおであったのです。同じエスニック伝道の韓国教会など7年間で三千人というところもあります。マレーシアの教会など一度に25名が洗礼を受けたのです。総会参加者はみんな日本人伝道は難しいということを理解したようであります。会議の後、何人かの牧師さんがたが私のところに来て成果の少なさを恥じている私に、慰めと励ましを与えてくださいました。 本当にどうして日本人はクリスチャンになる人が少ないのか、昔からの問題を今更ながら頭を抱え悩んでおります。そんな私に、日本人の問題ではなく村松という人物の能力の問題ではないかとの指摘を受け、なるほどと納得したしだいでもあります。しかしどうあれ、地道に日本人伝道を継続してゆく所存であります。続けてこの僕のためにお祈り下さい。               バンクーバー村松勝三  2010年10月28日

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