バンクーバー便り(2012/09)

バンクーバー便り 2012年9月もう9月も終わりとなりました。日本も秋めいてきたことと思います。こちらバンクーバーはもうすっかり秋となりました。まだ紅葉は始まっていませんが、まもなく、神秘的に美しい街路樹の紅葉が始まることでしょう。 秋はこちらの教会も伝道の季節です。私たちの通っている教会も伝道キャンペーンを始めました。そのスローガンは“Be Contagious Christian”私は最初聞いたときびっくりしました。Contagiousとは“伝染病を感染させる”という意味があります。一度聞いたら忘れる事のできない言葉です。しかしその言わんとすることはよく分かります。伝道的キリスト者となることが如何に大切かということが教えられます。個人主義が徹底している現代人へのよきメッセージではないか、伝道の秋、皆様の教会においても参考にしていただければ幸いです。さすが10年でその教勢が10倍となり、今では(15年後の今)2千名ほどにも成長した教会の考えることです。 先の土曜日、日系人コミュニティーのファンドレイズ夕食会に招かれて行って参りました。そこには400名ほどの出席者があり、第二次大戦中の1942年にUBC(ブリティッシュコロンビア大学)を卒業できるはずの日系人60人が敵国日本人であるがゆえに卒業証書が渡されなかった屈辱的な出来事があったのです。それが、70年後の今年6月にそれらの日系人学生に大学の謝罪と卒業証書が授与されたのであります。70年も経過しましたのでその中の10名は鬼籍の人となっていました。 その卒業生の一人メリー北川さんが戦時中の体験の講演をいたしました。戦時中、カナダ政府は日系人にひどいことをしたものです。突然、21、000人の日本人に退去命令を出し、財産を没収し、バンクーバーの一角にあるヘイスティング競馬場に連行しその厩舎に収容しました。悪臭の満ちる厩舎に,すし詰めされ、男女別々、家族ばらばらとなってしまいました。非衛生な厩舎に収容されていた間にメリーさんのお父さんは病気になってしまいました。ヘイスティングから今度は、いくつものグループに分けられ内陸部の鉱山が閉鎖されたゴーストタウンに移されてゆきました。ナカスプという鉱山跡地にうつされ、しばらく経ってお父さんは病が重くなって亡くなってしまいました。お父さんの亡骸を山にもって行きそこで薪を集め荼毘に付しました。それを家族だけで行ったそうです。その燃える様子は忘れることのできない最悪の出来事でした。いろんな悲しいことがありましたが、命が守られ今日がある、と淡々と話しました。私たちは聞いていて涙がとまりませんでした。カナダ政府は正式に謝罪し、賠償しました。メリーさんは言いました。私はこれらのことを恨んだりいたしません。ただ二度とこんなことが起きてはならないと思います。そして今カナダに住み、こんな素晴らしい国に住めることは本当に幸せだと思います。と話をとじました。一晩で、ファンドレイズ、9万6千ドルが集まったという発表がありました。では皆様のお祈りを感謝しつつ、主にありて バンクーバー村松勝三  9月27日

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