選択

 自分にしてもらいたいと望むとおり、人にもそのようにしなさい。(ルカ6章31節)

一、愚かな選択(創世記13章1−13節)
 ロトは叔父であるアブラム一家が生まれ故郷ウルを出てからずっと、行動を共にして来たので、アブラムから信仰的な影響を受け、彼も神を信じていました。神はアブラムもロトも共に祝福して下さり二人は、たくさんの家畜や財産を持つようになりました。
 ところが、やがてそれは二人の間にトラブルを引き起こすことになってしまったのです
(6、7節)。愛する甥と別れなければならなくなった時、アブラムは、まずロトに土地の選択権を与えました。なんと心の広い人でしょう。年長のアブラムには当然、先に選ぶ権利があり、そうすれば自分の望む土地を得ることができたのに、アブラムはあえてそれをしませんでした。今二人の前には、豊かに潤されたヨルダンの低地と、カナンの地が広がっています。
 さて、ロトはどちらを選んだのでしょうか。彼は肥沃な土地と町の賑やかさに目を奪われて、低地地方を選びました。しかし、実はその町、ソドムとゴモラは、不道徳に染まった罪の町だったのです。ロトは神が喜ばれるかどうかよりも、自分の目で見て良い所を選んだのです。一方、アブラムは残ったカナンの地をとることになりました。先にロトに選ばせた時、自分中心ではなく、神にゆだねたのでした。アブラムは信仰によって選択したのです。

二、驚くべき約束(13章14−18節)
 このようなアブラムの信仰は神は喜ばれました。15、17節を読みましょう。なんと素晴らしい約束でしょうか。『あなたが見渡しているこの地全部』『縦と横に歩き回」る
地とは、以前の約束よりも具体的です。16節には、数えきれないほどの子供が約束されています。今、子供がないにもかかわらず、神ははっきりとその約束をされたのです。
アブラムはその約束を信じ、早速ヘブロンに移り住み、そこで神を礼拝しました。

三、素早い救出(14章8−24節)
 さてロトはどうなったでしょう。しばらくして、その地方で王たちの戦いが起こりました。結局、ソドムとゴモラの町の王たちは逃げ、町の全財産は奪われてしまいました。その時、その町に住んでいたロトとその財産も奪い去られたのです。ロトは、この災難に巻き込まれて初めて、この土地を選んだ愚かさに気がついたことでしょう。
 ロトが連れ去られたことを聞いてアブラムは黙っていられませんでした。戦えるしもべ
たち318人を集めて、敵は大軍でしたが、命を賭けて追跡しました。しかも、夜襲という方法でアブラムたちはロトとその財産、その他の財産を全部取り戻したのです。
 アブラムは、他の人のために自分の身の危険や損得を顧みず、全力を尽くす人でした。
全く神に信頼していたので、そうすることが出来たのです。ソドムの王はアブラムを暖かく迎え、またシャレムの王メルキセデクは、アブラムに祝福を与えました。 

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