歴代志1

歴 代 志Ⅰ:

1、表 題:

A、Chroicles<歴代志>=”その時代のことば”……ヘブル語の書名。

B、”Supplements”<付録>……70人訳の聖書の書名。

C、”詩篇”………ギリシヤ語の書名

D、神制政治の書巻。

2、著者:

 エズラによって書かれたと思われる。

3、年代:

A、サウルの死からソロモン王の統治の初めまでの、約40年間にわたっている。

B、多分B.C.450年頃書かれた。

4、鍵 語:

A、Davib(“s) ダビデ(の)……………………189

B、House 家…………………………………… 106

C、Begat 生む……………………………………86

D、King(“s,s) 王(の、達)……………………76

5、鍵 節:

  29:26 ”ダビデは全イスラエルを治めた”

  29:12 ”あなたはすべてのものの支配者であられる”

6、目 的:

A、ダビデの王座と祭司としての務めに到るまでの系図を与えるため。

B、ダビデ王の支配を歴史を与えるため。

C、ダビデの幕屋において制定された礼拝の順序を記録し、ソロモンのもとに建設される神殿の準備を記す

  るため。

7、メッセージ:

A、神は主権者である。

B、人は神の権威に服従することによって、神から自分の権威を引き出せるのである。

8、アウトライン:

 古いヘブル人の言い伝えに、『モーセはイスラエルに5巻の律法を与えそれらに呼応して、ダビデはイスラエルに5巻の詩歌を与えた』とある。

Ⅰ、系図………………………………………………1−9章

   (1)族長の系図……………………1−2章

   (2)王族の系図……………………3−5章

   (3)祭司の系図……………………6−9章

Ⅱ、神政時代の歴史…………………………………10−21章

   (1)サウルの死……………………10章

   (2)ダビデの支配…………………11−21章

Ⅲ、神殿………………………………………………………22−29章

      (1)啓示と準備…………………………22−27章

      (2)ダビデのソロモンへの指示と死………28、29章

9、まとめ:

 サムエル記Ⅱとちょうど同じように、ダビデ王がこの書巻の中心人物である。ダビデの幕屋の礼拝の順序を制定し、神殿の啓示を受け、建設の準備とその務めをソロモンに委任するするところのダビデがそこに伺われる。

10、キリストの現れ:

 キリストは啓示を受け、霊の宮の建設のために死の前にその準備を果たし(教会………エペソ2:20、21)。聖霊(ソロモン)の務めに託する”ダビデ王にまさる者”として、表されている。

歴代誌 上
1、性格  A 鍵語  万有の主宰者 エホバ
                        B 鍵句  29章12節
   『富と誉れは御前から出ます。あなたはすべてのものの支配者であられ、御手には勢いと力があり、
     あなたの御手によって、すべてが偉大にされ、力ずけられるのです。』
C 大要
   サムエル、列王両書が内容に於いて一般的又は政治史であったのに対して歴代誌第一、第二は、神的
  で宗教色を帯びているのが特色である。サムエル、列王両書が人間対人間の問題を多く取り扱っている
  のに歴代第一、第二、は神対人間の関係を多く扱っている。歴代第一第二はアダム、エバより虜囚に至
  る神の目より見た神に属する民族の歴史書である。神の世の対する経綸の一部をなすものである。

2、著者
   エズラ書のエズラとみなされているそれは文体がエズラ書と非常に酷似している故である。
  時代は、浮囚時代に記されたと見られている。

3、他の文書との関係
   サムエル 列王ーー政治史
   歴代誌ー  宗教史もとは第一第二は1巻であった。
   列王記は南北朝を並行して描いているが歴代誌は中心をユダ王朝に置いた。北王朝の歴史はユダ王朝
   と関連ある場合のみに限っている。

4、分割 
  A  系図   1章〜9章
   1、アダムよりノアとアブラハム、イサク、ヤコブ、エソウ、エドムの王等まで  1章
   2、イスラエル(ヤコブ)からダビデまで                    2章
   3、ダビデの子等とその子孫                          3章
   4、ユダとシメオンの子族の子孫                        4章
   5、ルベン、ガド、及び、半マナセの子孫                   5章
   6、レビの氏族の子孫とアロンの子孫の所有地                   6章
     7、イッサカル、ベニヤミン、ナフタリ、エフライム、アセルの支派の子孫    7章
      8、ベニヤミンの子孫                            8章
   9、エルサレムの住民とサウル、ヨナタンの家系                9章

  B サウル、 10章
     1、サウル王の敗北と戦死                         10章1〜6
   2、サウルの死因となった罪                        10章7〜14

  C ダビデ     11章〜20章
     1、ダビデ、油注がれ王となる。                      11章1〜9
   2、ダビデ旗下の勇士と全軍の勢力                  11章10〜12章40
   3、ダビデ契約の箱をキリヤテヤリムよりかき上る              13章
   4、諸国に聞こえたダビデの名声                      14章
   5、ダビデ契約の箱をエルサレムに移し礼拝と奉仕者を定める         15章〜16章
   6、ダビデの神殿造営の志に対するエホバの御意と契約            17章
   7、ダビデの大勝利と敵軍完全制圧                     18章〜20章

   D 神殿造営準備  21章〜29章
   1、ダビデ軍勢の調査を行うもエホバの怒りに触れ、犠牲を捧げる。      21章
   2、ダビデ神殿の造営をその子ソロモンに委ねる               22章
   3、ダビデ晩年とレビ人                          23章
   4、祭司の24組とその他のレビ人                     24章
   5、24の楽人の組                            25章
   6、門を守る者と神殿のくろうどにされたレビ人               26章
   7、軍隊の組織と隊長の任命                        27章
   8、ダビデその子ソロモンを重臣らに紹介、神殿建設の準備をする。      28章
   9、ソロモンの即位とダビデの死                      29章
   登場人物
     ダビデ  サウル  ソロモン
6、使命
   エホバが万有の主宰者であるということに尽きる。29章11節 
  ”冨と貴きとは共に汝より出ず汝の手には勢いと力あり、汝の手は能く一切をもて大ならしめ、又強く
  ならしめ又強くならしむるなり。

A、神を最大と最高の言をもって表現し、崇高、賛美している。 例 16章全体、 16章26〜29節
  ダビデの賛歌 サムエル Ⅱ22章〜自己本位、人間本位
  歴代志の賛歌 神の神からの賛歌〜信仰的、宗教的
  ダビデの賛歌はどちらかというと後者方が主である。

B、主題、鍵句にも万有の主宰者なることを強調している如く、使命においても同様である。
  エホバは常に民族民族宗教の対象ではなく、すべて造られた者の創造、支配、統治者で絶対的に世界民
  族の君主である事を本書は使命の第一として強調している。
  神は造られた者の絶対的な地位に立ち不従順な者に向かって余す所なく裁かれる。
   エホバは万有の主宰者であるがゆえに、神が人に対して天地に対するが如くに主権者である。である
  が故に人は絶対的に神に従うという事のみ、〜 また神もそれを求めておられる。人の従う、従わない
  によって人の運命が定められる。
   祝福 〜 栄光 〜 繁栄
                  神の裁きは厳しい
      呪い 〜 暗黒 〜 滅亡
7、教訓
    イスラエルに比しユダは神に従うところ多かったのでそれを本書は重視し、イスラエルは無視され
    ている。
   A サウルの死よりの教訓
     死の事実  10章5〜8
     1、死の原因  10章13、14節 ”サウルは主の向かって犯した罪のために…己れを義とし
       て彼の傲慢と己の分を越えて罪を犯した。
     2、神の言葉を守らなかった。
       不従順によって神のみ旨を拒んだ。歴代誌15章13、14節

   B  ダビデの成功と繁栄の秘訣と原因
     1、万軍の主が彼と共ににおられたからである。11章9節
     2、臣下の家来、勇士を愛した故に家来たちは忠実に仕えた。11章10節
       ダビデのためには自分の命をも賭して惜しまず兵は仕えた11章17、18節
       *これは私たちがイエスに仕える事と関連性あり

     C ダビデとイスラエル民族との関係が密接であり愛に満たされていた。
     歴代志上 1章1、2
        12章 組織より教訓
        13章 ウザの死 彼は祭司でなかったため殺されたと考えられる。
   D ソロモン
      22章5、6節 ダビデは若いソロモンのため多量の物資を神殿建設のため準備した。
     ダビデが何故、神殿を建設しなかったかは22章8節にあり、彼があまりに戦争人であり、
     血を流して罪を犯したためある。歴代志は宗教的な書である。

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