士師記

士 師 記:

1、表 題:

A、Judges<士師>=解放者

B、妥協による失敗の書巻

2、著 者:

 不明であるが、一般にサムエルと言われている。

3、年代、

A、ヨシュアからサムソンの死にいたる約400年間。

B、およそBC1050年から970年の間に書かれた。

4、鍵 語:

A、Judge(ds)  さばきつかさ、さばく…………………………21 

B、EviI 悪、わざわい……………………………………………14

鍵 句:

A、主の霊が彼の上に下った。………………………………… 6

B、”イスラエルには王がなく、めいめいが自分の目に

  正しいと見えることを行なっていた”…………………… 4

5、鍵 節:

 2:10、 21:25

6、目 的:

A、カナンの中での、イスラエルの霊的放浪を示すため。

B、いかに、イスラエル民族の妥協が、イスラエルの失敗につながったかを示すため。

7、メッセージ:

A、罪のために人間は、いつもと神より迷い出る傾向がある。

B、神から離れることは、苦役(奴隷化)と圧迫の生活に導かれる。

C、神は救う者を起こすことによって、人をご自身に引き寄せてその恵みを表される。

アウト・ライン

Ⅰ、征服における妥協(序)………………………………1:1−2:5

   国民の不忠実

Ⅱ、種を見捨てる(歴史)…………………………………2:6−16:10

   国民の苦役

    (1)堕落 (2)結果 (3)回復

Ⅲ、無政府状態、最終的結果(付録)……………………17−21章

   国民の堕落

9、まとめ:

 この書は、イスラエル民族が、その土地に定着し、特別な問題に立ち向かった事を描写している。私達はこの書に勝利と敗北、善と悪、リバイバルと背信、善と悪、統一と無政府状態といった両面が入り混じっていることを見いだす。

そこに2:11−19に良くまとめられているように7度繰り返された周期がある。

      主からの離反

      敵の奴隷となる

      主への祈願

      すくう者またはさばきづかさが起こされる

      主に立ち帰る。

 この書巻は、約400年間のイスラエルに歴史を網羅しているものであるが、実際に苦役におかれたのは111年間だけである。失敗の書巻であるのにもかかわらず、さばきつかさの務めの中に信仰を見るのである(ヘブル11:32−34)。

(注)士師記は厳正には年代順に事件が記録されてていないが、事件が霊的意味によってまとめられている。

10、キリストの現れ:

 キリストは罪とサタンの苦役から解放する”主の霊が臨んだ”ところのさばきつかさ、解放者、救い主として表されている。

士 師 記
1,性格 

 A 鍵語 霊と肉との葛藤(肉なる人と外なる人の争闘)ロマ7章15ー25
 B 鍵句 士師21章25
 『その頃イスラエルに王なかりしかば各人その目に善と見ゆるところを為せり』
C、大要 
 本書の主要な点は人間が肉にもつ生命の下落の傾向、即ち神の対する反逆、これを阻止回復線とする内なる御霊の恵みによると  の内的闘争。(信者における……)士師2章16ー19

2、著者=不明である。
 最後の士師、あるいは一般的にサムエルではないかと言われているが疑わしい。

3、他の文書との関係
A 人間の堕落の傾向を教えている点において創世記と比類し、これを阻止回復線  
 とする点において出エジプト記と比類する。しかして神の恩恵についても似てい 
 る。
B 書き方の順序がヨシュア記に続いている関係から、それとも密接である。勝利 
 の後に堕落がある。かんしゃしたいことには、神は見捨て給わない。回復のため
 に惜しみなく犠牲を払われる。

4、分割
A 1章2節  序論
 ヨシュアの死後、イスラエル人のカナン侵入の実情が記されてあり、それは必ずしもカナンの全面的征服ではなかったという歴史的な事実をみてとれる。
(ヨシュア記の中のある記事と重複がみられる)

B 背信による民族の奴隷状態と神の救い。
      背信の順序  

     引照   征服者  士師  非征服期間
1、3章1ー11節      クシャンリシャタイム 

                             オテニエル 8年
2、3章12ー31. モアブ王、ペリシテ王,

                           エホデ  シャムガル,18年 
3、4章—5章.    カナン王ヤビン デボラ、

                           バラク 20年
4、6章—8章32節 ミデアン人 ギベオン 7年
5、8章33—10章5節 内乱   アビメレク、

                                    トーラ、セイル?    

6、10章6—12章  アンモン人,  エフタ、

                イブザン、エロン、アブドン 18年
7、13章—16章 ペリシテ人 サムソン 20年

*ここにおいて神、民族が悪しき事を行った時、敵の手に彼らをお渡しになった。
そして民族が苦しみの叫びを上げた時、士師(さばきづかさ)と呼ばれる人を起こして
救われたのである。

C、士師以後の秩序なき無政府状態。
 1、信仰生活における混乱  17章—18章
 2、家庭、道得生活の混乱  19章
 3、国家政治的方面の混乱  20章—21章

5、著名人物(登場人物)
A、14人の士師たち
1オテニエル  2エホデ 3シャムガル 

4デボラ  5バラク6ギベオン 

7アビメレク 8トーラ  9ヤイル  

10エフタ  11イブザン 12エロン 

13アブドン 14サムソン

Bヤエル(デボラを助けた、婦人)

6,使命
A、主視点は人の本質。神から離れ易い傾向をもつ人の心。神を信ぜしめ
不従順を犯す罪の性質を教えることを主眼としているのである。消極的には神を忘れる。強いていうなら神を心の中に意識するを良しとはしない。
ロマ1章28節『また神を心に止むるを善しとせざれば、神もその邪曲なる心の儘に為まじきことをするに任せ給えり』
積極的には不義をもて真理を拒む。神を知りつつ拝まない。

B、民族の堕落によっていかに罪に対して無能力なものであるか。意志的なもろさを教えている。

C、士師記は神がいかに絶大なるお方であるか、即ち、寛容、忍耐、哀れみにおいて実に恩恵の方であることを民族救済によって知らされる。
『天よりこれを攻める者あり、もろもろの星その道を離れてシセラを攻む』
(5章20節) 罪 ? 失敗を教えている。

D、神は愛する者の行き先を案じ、彼らが苦しみ叫ぶ時、その声をを聴かないではいられない誠実な方である。偽りなき神の真実が現れている。『これ聖顔を覆うことなくしてその叫ぶときに聴き給えばなり』(詩篇22篇24節)

7,本書の特別な聖句
 A、士師記には、初めが二つある。

 1章1節  2章6—10節=重複   
  即ち、士師記はヨシュアの死後から始まっているが1章1節にヨシュアの死後 
 とあるにも関わらず2章6節以後にもヨシュアの死が記してあるので二重になっ 
 ている。理由は士師記の著者が不明確である故、何人かの手によって書き写され  
 たためであると推察される。

 B、士師記5章1節=神
 聖書中に始に神への賛歌を歌ったのはミリヤムであり、
 二番目にデボラ (婦人) とバラクが神への賛歌をうたった。

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