ヨシュア記:
1、表 題:
A、Joshua<ヨシュア記>=エホバは救い。
B、征服の書巻。
2、著 者:
ヨシュアによって書かれた(18:9、24:25、26)。
3、年代:
A、モーセの死からヨシュアの死まで約30年間にわたっている。
B、B,C1390年から1370年の間に書かれた。
4、鍵 語:
A、 Inherit(ance) 相続地 ……………………………61
B、Possess (ion) 占領、所有する、所有地…………24
5、鍵 節:
11:23、 21:43−45
6、目 的:
A、神がイスラエル民族に約束の地を与えんとした、神の約束の成就を示すため(23:14)。
B、その地をイスラエル民族が完全に得ることできなかったという失敗を示すため(ヘブル18:3)
7、メッセージ:
A、神は”約束の地”を”子孫”に与えて、彼の契約(アブラハム)を守ることに忠実である。
B、信じる者は、神が与えるすべてのものの中に入るように務めなければならない(ヘブル4章)。
8、アウトライン:
Ⅰ、約束の地に踏み込む……………………1−5章
Ⅱ、その地を征服する………………………6−12章
Ⅲ、その地を分割する………………………13−22章
Ⅳ、その地において告別と埋葬……………23−24章
9、まとめ:
この書巻の焦点は明らかに約束の地そのものである。イスラエルの民がいかにその地に入り、制服しカナンを分割したかの記録が含まれている。この書は主として勝利と約束の成就の書巻である。モーセの五書が約束の地占拠までの出来事を網羅し、ヨシュア記はその地への現実の侵入を記録している。下記の事項は、約束の地に関連すいる聖書のはじめの6巻のまとめである。
創世記………………地の約束
出エジプト…………地に向かっての出発
レビ記………………地で住むための律法
民数記………………地の外での放浪(古い世代)
申命記………………地に入る準備(新世代)
ヨシュア記…………地の獲得
10、キリストの現れ:
キリストは、私たちのヨシュア(ヘブル4:8)救いの長(ヘブル2:10)神の言葉である聖霊の剣をふるう方である(ヨシュア5:13−15、エペソ6:12−18)そして新約のイスラエル民族(クリスチャン)をその相続の中に導き入れる方(ヘブル4章、エペソ1:3、14)として表されている。
ヨシュア記
1、性 格
A 鍵 語、 勝利と所有
B 鍵句、11章23節
『ヨシュアかく此の地をことごとく取れり、全くエホバのモーセに告げ給いし如し、而してヨシュア、イスラエルの支派のわかちに従い之を与えて産業となさしめたり。遂にこの地の戦やみぬ』
C、大要、
ヨシュア記は前半をカナンにおける戦いをもって費やされる。後半は、カナンの土地を12部族に分け与えその産業となしたこととヨシュアの告別の辞である。
2、著者 ヨシュア
これはBC1427年頃書かれたと言われている。彼はその名をイエスと同じ意味のヨシュアと言う。イエスはヨシュアのギリシャ語名で『エホバは救い}の語義がある。
A 家柄、
エフライム部族の出身。ヌンの子始の名をホセアといったがモーセにヨシュアのいう名をもらって改名した。(民数記13章8、16節)
B 彼はモーセに非常に信頼されていた。モーセの従者であった。『モーセはその従者ヨシュアと共に起き上がり、モーセ上りて神の山へ行く』(出 24章13節)
C 彼は荒野旅行中アマレクとの戦争の折、将師として民族、全軍を指揮した。(出17章9、10節)
D 彼はカデシバルネアよりカナンの地を探りに言った12人の間諜の一人でカレブ
とともに信仰的報告、激励を下の不信仰を排撃した。(民数記13章8節、14章6、9節)
E ヨシュアはモーセの死後、神に選ばれて偉大な後継者になり民族をカナンに導き入れた。(民数記27章18ー23節、ヨシュア1章1、2 節)
F カレは110才を持ってその生涯を終わった。(24章29節)
葬られた地はガアシ山北方テムナテセラである。(24章30節)
3 他の文書との関係
A、新約聖書の使徒行伝と共通の性格を有する書である。霊的に選民として異邦人の中に入って行って活動し伝道した。使徒行伝はローマ、コリント、ギリシャその他の地方に伝道し勝利を収めた。
B 使徒行伝と同じく一つの独立した地位をもっている。
4 分 割
A 約束の地カナン入国1章ー5章
エホバ ヨシュアを召命する。1章1ー1章9節
イスラエルに対するヨシュアの誓願1章10—1章15節
民族の心からなる応答(一切汝に従わん)1章16ー18節
遊女ラハブとスパイ 2章1ー24節
民族のヨルダン通過(水乾ける間に)3章
二つの記念物(一つは川の真ん中、西岸のギルガル)4章
ヨルダン渡河による敵の恐れ 5章1節
神エジプトの恥をころばしされり 5章2—10節
カナンにおける新しい糧食 5章11、12節
エホバの軍旅の将 現る 5章13—15節
B 約束の地カナン征服 6章—12章
(1)信仰によるエリコ占領 6章
(2)アカンの罪に対する激しい審判 7章
(3)アイの征服 8章1ー29節
(4)エバル山に於けるヨシュアの祭壇 8章30ー35節
(5)ギベオン人の偽りの契約 9章
(6)カナン南部の完全制圧 10章
(7)カナン北部の完全制圧 11章
(8)民族の大勝利と戦果 12章
C 約束の地カナンの分割 13章ー22章
(1)残余の進出地 13章
(2)土地の分割 14章ー21章
(3)二支族半の誤り 22章
D ヨシュアの決別 23章ー24章
(1)ヨシュアの最後の訓戒 23章1ー24章28節
(2)ヨシュアの死 24章29ー32節
(3)エレアザル(祭司)の死 24章33節
5 著名人物
ヨシュア。
ラハブ ヘブル11章3節 彼女は遊び女であったが、信仰によって彼らを受けた。
アカン 盗みをなし、神の怒りに触れ、石で打たれ殺された。7章
エレアザル(アロンの子、祭司)
6 使 命 A 神は誠実であること。
カナンの地の約束は、アブラハムに始まってここに成就した。神は人との間にとりかわした約束を間違い無く果たして神の真実を自らを証明しておられる。
?コリント?章18節『神は真実にて在せば我らが汝らに対する言も然り否というが如きにあらず』?テサロニケ3章3節
イザヤ55章11節『わが口より出ることばもむなしくは我にかえらず』
テモテ?2章13節『我らは真実ならずとも彼は絶えず忠実にましませり』
ヘブル10章23節『約束し給いし者は忠実なれば………』
* 神の裁きはイスラエル民族の罪故にカナン人に下された。神はカナン人をその悪を絶滅するためイスラエルの罪以上にカナン人のにその裁きを下さ れたのである。
* 創世記12章7節『我れ汝の末にこの地を与えんといい給えり』とのアブラハム に対する約束は完全に果たされた。
B キリスト者の生涯はヨシュア記1章2—9節にその要点がつくされている。即ち、神への信頼と服従である。とすれば神は大いなる励ましを与えられる。『心を強くしかつ勇め」
7 特別な聖句
A 第1章の中にある神の励まし6,7,9,18節の4回である。
B 第10節、第11節の中に「如し』『如く』とある。之は神が繰り返し事を行われる
ものを示したものである。
C ヨシュア記の特別な事実 アカンの罪=7章に於いて盗みを働いた。
1、見た。 2、欲心を起こした。 3,取った。 4、隠した。
第?ヨハネ2章16節『世にあるものすべての欲は御父より出るに非ず世より出る なり』同じようにアダム、エバの罪も見る事によって始まったようにこの場合も見る、
欲しくなる、取って隠すという経過をたどっている。
* 本書は歴史的にはモーセの五巻に記されたイスラエル民族の準備時代とカナンに於け
る植民時代との連結をなしている本書の歴史は、一人の人物(ヨシュア)を中心として描いたもので聖書特有の性格の強さが如実に表れている。