ダニエル書
1、表 題
A、Danieru (ダニエル)=神の裁き、神は私の審判者。
B、裁きの書簡。
C、諸王国の書簡。
2、著 者:
地上と天国の王国について預言した、捕囚の預言者ダニエルによって書かれた。
3、年 代:
A、ダニエルの務めは、エホヤキム王の治世に始り、ユダのエコヌヤによって(エホヤキン)、セデキヤの期
間、そしてメド・ペルシャの王クロスの治世で終わる、約70年間(B,C,606−536年)にわたっている。
B、B,C,560年から536年の間に書かれた。
4、鍵 語:
A、王、(たち、の)…………………………………………187
B、国々…………………………………………………………59
C、ひと時、(ふた時)、時、時代 ……………………………47
D、解き明かし ………………………………………………33
E、幻 …………………………………………………………32
F、夢 …………………………………………………………29
G、終わり ……………………………………………………27
H、主権、(すべての)権力……………………………………19
鍵句:
A、いと高き方が(支配する)” ……………………………12
5、鍵 節:
2:21−22、7:13−14、18
6、目 的:
A、捕囚の中にあっても、神の配慮がその民にあることを例証するため。
B、地上のいかなる王国よりも、神の国がすぐれていることを証明するため。
C、神がどのように諸国の歴史をコントロールし、支配しておられるかを示すため。
7、メッセージ:
A、いと高き方の主権は普遍的である。
B、神はそのしもべらに秘密を示し、主が国々を取り扱っておられる時に、しもべらを暗闇の中に置き去り
にはなさらない。
8、アウトライン:
Ⅰ、歴史の書巻(カルデヤ語で書かれている)…………………………1−6章
ネブカデネザルの夢
Ⅱ、預言の書巻(ヘブル語で書かれている)…………………………7ー12章
ダニエルの幻
9、まとめ:
ダニエルと彼の友人たちの経験は、従順で、忠実な神のしもべらが、しばし地上の成功をもって祝福され、
主の秘密を委ねられ、試練と苦しみの時にも慰められることを表している。
初めの6章にあるネブカデネザルのそれぞれの夢は、この世の諸王国の人間的な観点(神に祭り上げられた人間の形)で現している。終わりの6章にあるダニエルの幻は、同じ諸王国を神の観点(野生的な肉食性の獣として)から継続の順序を与えて現している。最も含蓄のある(また論争の的になる)ダニエルの予言は、バビロンの捕囚の終わりから、人の子が永遠の王国を最終的に確立される時までの、時期についてふれている70週の予言である。
(注)ダニエル書と黙示録は、互いに捕捉しあって完成する対になった書巻である。
10、キリストの現れ:
キリストは、人の子(7:13)、手を使わずに切り出された石(2:34、35、2;44、45)
この世の諸国を粉砕する者(マタイ21:42−44)として表されている。
神の御国は永遠の御国(7:27)として表され、キリストは、王の王、主の主として見ることができる。
(黙示19:16)
ダニエル書
1、性格
A、鍵語 主は裁き給う
B、鍵句 4:25=いと高き方が人間の国を支配し、その御心にかなう者にお与えになることを知る
ようになります。
C、大要
1、(イスラエル民族の歴史的に)本書はユダの首都とエルサレム滅亡後、異邦国の権力下におかれたイス
ラエルの運命を語り、亡国の民として選民イスラエルが、異邦権力下にありながらも主こそ世界人類歴
史の審判者であり、イスラエルの守護、復興者であると信じた涙ぐましい希望の書である。
2、(世界歴史的に)本書の内容はエルサレム滅亡後の世界歴史の変遷からなる。
その世界歴史は四つの帝国の栄枯衰勢の歴史となっている。その世界史は、ネブカデネザル王の見た夢
の金、銀、銅、鉄、からなった巨大な像とダニエルの見た夢の4匹の巨大なけものとに顕著に黙示され
ている。
ダニエル書は2方面から 1、民族史的、 2、世界史的 他の書には無い。
Ⅱ、著者
1、ダニエル 7:15、28、8:1、15節『我ダニエル』
主御自身も正しいことを証明=マタイ24:15、
2、a、 BC606年頃、バビロンの進略を受けてエルサレムに連れて行かれた虜囚の一人、1:1〜6
b、バビロニヤ帝国の勃興から滅亡まで、1:1〜ペルシャの初代王クロスの3年まで、10:1節
BC、606年〜536年迄〜70年間
c、彼の居住=シナルー1:2、
3、ダニエルは名門の出身……王室又は貴族の出、1:3
彼は人間的にこの上もない程申し分のない青年1:4
4、ダニエルは、バビロニヤ、メデヤ、ペルシヤ、”帝国”に仕えていた。
5、王の命によってダニエルは博士の首であった。4:9、5:11、
Ⅲ、他書との関係
ダニエル書= 未来的予言の規模又はその範囲は旧約聖書中筆頭である。
本書の予言は民族のみに限定されたものではなく、世界的な広さを持つ。これは新約の黙示録に類似している。ダニエル書の予言は主に異象から来ている。エゼキエル書の予言も異象であるが、ダニエルの異象とは違う。内容、性格ともに異なっている。エゼキエル書が難解な書である如くダニエル書も勝るとも劣らない難解な書である。
Ⅳ 分 割
A、歴史的序実 1章〜6章
1、異教徒間に置ける少年ダニエルと三人の友の世俗的享楽生活に対する謹厳の律法生活。1章。
2、ネブカデネザルが夢に見た4種の原質をもつ巨大な像をダニエルは解明して世界の四大帝国の興亡を
予言した。2章
3、ダリヨス王の治世元年、ダニエルはイスラエル回復のため断食祈祷をし、後天使再びダニエルに来たり
70週の予言の解釈を受く。9章。
4、クロス王の治世の3年に天使再びダニエルに来たり幾世代にわたる不敬虔な非人道的な王たちと王国と
の横暴ぶりをパノラマ式に現し、その最後と神の審判の厳しさを示して彼の信仰の勝利を約す。
10章〜12章
ⅴ、使 命
本書の主眼とする点
1、神が世界における幾世代にわたっての絶対的主権者である事。
2、選民の信仰を試練のうちに激励する。
Ⅵ、教 訓
1、ダニエル他三人の謹厳な律法生活
(モーセの十戒の枠にこだわったものでない)