エステル記

エステル記:

1、表 題 

A、Esther<エステル>=星、秘密、秘められた。

B、神の摂理の書巻。

2、著 者:

 多分モルデカイに寄って書かれた。(9:20)

3、年 代:

A、アハシュエロス王の支配の3年(1:3)から第12年(3:7)までの、約10年間にわたっている。

 年代的には、エズラ記の6章と7章の間に起きた出来事である。

B、多分B,C,450から420年の間に書かれたものと思われる。

 4、鍵 語:

A、King(s) 王(の)………………………………………………………195

B、Jew(s,`s) ユダヤ人(達、の)…………………………………………53

C、Queen王妃………………………………………………………………27

5、鍵 節:

 4:14

6、目 的:

A、第1回目の残りの者達と共に帰国しなかった、ユダヤ人達のための神の摂理を実証するため。

B、ユダヤ人のプリムの祭りの起源を詳述するため(3:6、7、9:26−28)。

7、メッセージ

A、見えないけれども、神の摂理の御手は、人間のいろいろな事件の中で、あるいはそれを通して、また

  それを越えて神の選民を導き、守り、支配し、見つめ、そして維持されるのである。

B、神の民を滅ぼそうとする者こそ、彼ら自身が滅ぼされるであろう。

8、アウトライン:

Ⅰ、アハシュエロスの祝宴……………………………………………………1−2章

Ⅱ、エステルの祝宴……………………………………………………………3−7章

Ⅲ、プリムの祭り………………………………………………………………8−10章

9、まとめ:

 私達はこの書巻の中で、ペルシャのアハシュエロス王が、王妃ワシユテイを捨て去ったことを見る。

(アハシュエロスの祝宴)。それから花嫁、また王妃として選ばれたエステルは、連れてこられ、モルデカイとへガイの働きをとおして整えられた(エステルの祝宴)。

 アガグ人ハマンがユダヤ人に反対して立ち上がった時、エステルは同民族に断食を呼びかけ、自分自身の生命をかけ、ユダヤ民族に解放をもたらしたのである。プリムの祭りは、ハマンの死(モルデカイのために準備された絞首台の上で吊るされた) と、ユダヤ民族の解放と保護を記念して毎年祝うことが始められたのである。エステル記は、捕囚後の三つの歴史書の中で最後のものである。

  エズラ記………神殿の回復……………宗教的

  ネヘミヤ記……町の城壁の再建………政治的

  エステル記……ユダの家の保護………民族的

(注)神の名は、エステル記には一度も言及されていないが、この書の中で、ヘブル語のアクロステック(各行間の文字をつづるとヘブル語のアルファベットでできた詩になっていく)が4箇所隠されている。

 10、キリストの現れ:

 キリストは、王として表されている。その王のために教会(エステル)は聖霊(へガイ)と御言葉(モルデカイ)の働きによって結婚の準備がなされている。

エステル記
1、性 格
     A、鍵語  摂理と保護
     B、鍵句  4章14節
 ”もし、あなたがこのような時に沈黙を守るなら、別の所から、助けと救いがユダヤ人のために起ころう。
しかしあなたも、あなたの父の家も滅びよう。あなたがこの王国に来たのは、もしかすると、この時のためであるかもしれない。(エステル記4章14節)
C 大 要
エステル書はルツ記と同様、主人公は婦人である故に、ここに特徴が現れる。
女性の特徴=2種 A、愛による包容 ルツ記。 B、極端な排他性 エステル記。
 
*本書はルツ記が愛の包容であるのに対し極端な排他性が表われている。全体を通じ民族的誇り、憎悪、
復讐の思想に満ちている。これは、ユダヤ民族の選民意識による純潔を守ろうとする排他性非融和性である。
 本書はゼルバベルの第一次帰国とエズラの第二次帰国の間に、ペルシャに滞在していてエズラに加わらな
かったユダヤ民族が一大危機に直面したとき奇しくも免れた民族の救いの歴史書である。
 直接宗教的にみられる重要なものは極めて少なく殆どない。かえって我々に不信にみえる箇所が殆どない。
かえつて我々に不審にみえる箇所が少なくないので多くの人にはこのような書は意味がなく、聖書にのせる価値がないというが、しかし我々にはこの書にふくまれている意味を深い所まで研究する余地がある。

2、著 者
  不明。
 著者が誰であるかは、明確に判明しない。推測としてはエズラではないかと、一般的に思われている。
 
年 代 
 一章一節に アハシュエロスの世と書いてあるようにAB 486〜465までの間。
故に本書はネヘミヤ記の後に置かれているが年代的には、その事件は、ネヘミヤ記よりも、約30年遡っている。

3、他の文書との関係
 本書は前にエズラ書をおき、後ろにネヘミヤ記を控えている関係上両書共に非常に密接なつながりがある。
 本書は、エズラ、ネヘミヤに於ける時代の歴史文学ともいうべきである。

4、分 割
 A ペルシヤ王アハスエロス王の酒宴。  1章〜2章、
   1、長期に及んだ王の酒宴と妃ワシテの拒絶      1章1ー12節
   2、妃ワシテの廃位と失格              1章13−22節
   3、王、妃を求め、エステルそれに選ばれる      2章1ー20節
   4、陰謀の発見と王命を救ったモルデカイ       2章21−23節

 B 、エステルの酒宴            3章〜7章
   1、モルデカイ、王の寵臣ハマンを拝せず        3章1−4節
   2、ハマンの怒りとユダヤ人虐殺の陰謀         3章5−15節
   3、モルデカイ並びにユダヤ人の悲観と断食祈祷     4章1−3節
   4、悲報の達しとエステル使者をモルデカイに発す。   4章4−8節
   5、エステル、命をとして救いを決意、直ちに断食祈祷に入る。4章9−17節
   6、エステル冒険的に王に謁見し、王とハマンを酒宴に招待す。5章1−8節
   7、ハマンのモルデカイに対する怒りは磔殺を陰謀す。   5章9−14節
   8、王はモルデカイの勲功を知りハマンをして表象せしむ。 6章1−11節
   9、ハマンの煩悶                    6章12−14節
  10、エステルの酒宴の席上、王に自身と同胞の命乞い。   7章1−4節
  11、王の怒りとハマンの失脚、彼自身磔殺される。     7章5−10節

 C、ユダヤ人の酒宴            8章〜10章
   1、モルデカイの受惠と、エステル同胞救済の取りなし   8章1−14節
   2、モルデカイの栄光とユダヤ人の喜び          8章15ー17節
   3、ユダヤ人の自衛行動                 9章1ー19節
   4、プリムの酒宴の設定                 9章20−32節
  5、アハシュエロス王の権勢と功績            10章1ー1−2節
  6、モルデカイの尊きと善政               10章3、4節
 
  5、登場人物
  ペルシャ王アハシュエロス、 妃ワシテ
  エステル、 その叔父モルデカイ、 陰謀の人ハマン

  6、使 命
  1、聖霊の隠れた働きが見える。無意識における神の導きと保護がある。
  2、裁くことは人のすべきことではない。神のみが、それを出来る。
     ローマ12章19節、 2章1節、  マタイ26章52節、

  3、断食祈祷をなして神に祈ったここに神を求める心がよく表れている。 

  7、教 訓
   *ワシテの日妥協性 ここに必要とあらば自らの意見を押し通す必要を見る。

 *エステルの選び=神の選択 ロマ9章14〜18節
   エステルが選ばれたのは彼女の性質が善であり優れていたからか?
   否しからず。神は民を愛しておられたから彼女を選び立てられた。

 *モルデカイの信仰 彼は如何なる困難の中にあっても強固な信念を持っていた。
 
 *ハマンの末路。ガラテヤ6章7、8節 ”神は侮られるような方ではありません。人は種を蒔けば、
  そのたねを刈り取りもすることになります。

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