福音を語る囚人

 主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたもあなたの家族も救われます。
                              (使徒16章31節)

一、パウロ、投獄される(使徒16章16ー24節)
 パウロは、2回目の伝道旅行にシラスを一緒に連れて行きました。シラスは、エルサレム教会の指導者の一人で(15章22節)、パウロと同じようにローマの市民権を持つユダヤ人でした (37節)。第1回目の旅行は、ガラテヤ州の限られた地域でしたが今回の第2回目の第2回目の旅行は、ヨーロッパにまで進んでいきます。ピリピは、ギリシャ半島にあるまけどに屋集のローマの退役軍人が作った大きな植民都市です。ここにはユダヤ教の会堂はなく、ユダヤ人は川の畔などを祈り場としていました。パウロたちも、そこで福音を伝えました。
 この時に一つの事件が起こったのです。16章16ー18節を読んでみましょう。女奴隷はイエスを信じてはいませんでした。自分が信じていないことをいくら語っても、本気で耳を傾ける人はいないでしょう。パウロは人々が福音を信じる妨げになるため、その女から占いの霊を追い出したのです。この女を使って金儲けをしていた主人たちは、商売の邪魔をされたことに腹を立て、パウロとシラスを訴えました。しかし、主人たちが訴えた理由を見ると、本当の理由とは違います。20、21節を見て、どう違うか調べてみましょう。
 この言葉から、彼らが偽って訴えていること、ローマ人であることを誇り反ユダヤ感情が強いこと、ユダヤ教とキリスト教の違いに気づいていないこと、を知ることができます。彼らは群衆を扇動しました。そのためにローマの地方長官も仕方なくパウロたちを投獄しなければなりませんでした。
二、獄中の賛美(25、26節)
 パウロたちは、獄中にあっても失望落胆することなく、神に祈りつつ賛美の歌を唱いました。主なる神を信頼し、主であるキリストの臨在を知っていたから、獄中でも神を賛美できたのです。その賛美の歌声に、ほかの囚人たちも聴き入っていました。賛美は、優れた福音のあかしでもあります。彼らの祈りと賛美を、主なる神も聞いておられました。そして、奇跡をもって答えられました。突然、大地震が起こり、獄舎の土台が揺れ動き、全ての戸が開き、皆の鎖が解けました。神は祈りに答え、賛美は奇跡を生む。全ては、全ての人の予想を超えて、働くのです。私たちも、苦難と失意の日にも祈り、また賛美しましょう。
三、パウロ、宣教する(27ー34節)
 看守は、獄舎の戸が全部開いているのを見て、すべての囚人が逃げたものと思い、責任とって自殺しょうとしました。その時、パウロは叫んで言った。『自害してはいけない。私たちはみなここにいる』それは、彼には重ねてのショックでした。それでパウロたちの前にひれ伏して言った『先生方。救われるためには、何をしなければなりませんか』
 パウロたちは答えて言った『主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたもあなたの家族も救われます』(31節)このことばには二重の意味があります。今のこの危機的状況からの救いと、
キリストによる永遠の救いです。看守は、ただちにパウロたちを家に迎え入れ、家族ともどもにキリストを信じ、バプテスマを受けました。パウロは、このように、獄中にあっても、危機的状況の中にあってもいつも大胆にキリストの福音を宣べ伝へました。私たちも、どのような時でも人を恐れることなく、大胆にキリストの福音を伝えましょう。

* 8月5日   福音を語る囚人         聖書箇所=使徒16章16—34節

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