主は私たちのために大いなることをなされ、私たちは喜んだ。
(詩篇126篇3節)
一、神殿工事の中断(エズラ 4章)
かつて北王国イスラエルがアッシリヤ帝国に滅ぼされた時、周辺の民族がその地に移住して、イスラエル人と結婚するようになりました。こうして北王国の首都であったサマリヤには、混血の民族が住み着くことになったのです。これが、いわゆる『サマリヤ人』です。南王国ユダの滅亡後も同様のことが起こりました。エルサレムに住み着いた人々にとって、神殿再建のためにペルシャから帰還した人々は、頭痛の種だったに違いありません。
彼らは、工事に参加したいと申し出ました。しかるべき権利を主張するためか、あるいは工事を妨害しようという下心を抱いて申し出だったようです。いかにも同じ信仰をもっているようなことを言っていますが、異教の影響を受けた信仰は用心をしなければなりません (2節)。
ゼルバベルとヨシュアが申し出を断ると、彼らは本性を現し、妨害を始めました。
4、5節に、その方法が書いてあります。それで、工事を中断しなければならなくなりました。
二、工事の再開(5章)
クロス王の治世第2年に始まった神殿の再建工事は、中断したままおよそ18年が過ぎました。歳月とともに、再建の情熱も薄れていったに違いありません。しかし、ダリヨス王の治世第2年(BC 520年) になると、主は預言者ハガイを通して『主の宮を建てよ』とお告げになりました (ハガイ?章1、9節)。続いて預言者ゼカリヤを通してお語りになりました (ゼカリヤ1章1節)。
二人の預言者に励まされてハガイ2章1−9節、ゼカリヤ4章6−9節)勇気を得たゼルバベルは工事を再開しました。同時に妨害も始まりました。
サマリヤ人の通報を受けて、ペルシャの執政官であるタテナイが調査をしに来ました。
工事をするに当ってペルシャ帝国の許可を得ているか、責任者は誰か、という2点が調査のポイントでした。タテナイはダリヨス王に手紙を書いて、本当にクロス王の許可があったかどうか調べるように依頼しましました。7−17節を読みましょう。ここには、イスラエル人に対する好意的感情が現れています。神がタテナイの心を動かしてくださったのでしょう。
三、神殿の完成(6章)
ダリヨス王の命令でバビロンの文書保管所を調べると、クロス王の神殿再建命令を記した巻物が見つかりました (2−5節)。これに勝る証拠はありません。ダリヨス王は、クロス王の意志を継いで、全面的に工事を支援しました (7−9節)。それは経済的な支援を約束して、イスラエル人たちの忠誠をかちとろうとするダリヨス王の政策でもありました。
こうして、神殿は、ダリヨス王の治世の第6年 (BC515 年)、アダルの月(現在の2、3月)三日に完成しました。しつこい妨害があったにもかかわらず、神の守りは常にご自身を信頼する民の上にあり。ご計画どおりに礼拝の場所が完成したのです。大切なのは、なにがあっても失望せず希望をもって従う信仰です。
捕囚からの帰還者たちは、喜んで献堂式を祝いました。