あなたの神である主を拝み、主にだけ仕えなさい。(ルカ4章8節)
Worship the Lord yoyu God and serve him only.(Luke 4 : 8 ) New Intenational Version.
一、第一の試み(ルカ4章1−4節)
イエスは聖霊の導きによって荒野に行かれました。40日40夜の断食の末、極度の空腹を覚える イエスに悪にがささやきます。あなたが神の子なら』は『あなたは神の子だから』と断定する条件文。悪魔は、イエスが神の子であることを認めたうえで揺さぶ りをかけます。以下すべての試みが同様です。
『石をパンにせよ』という誘惑に対してイエスは、申命記8章3節のことばを引用して『人はパンだけで生きるのではない』と答えられました。マタイ福音書には、後半の『神の口から出る一つ一つのことばによる』も記されています。
イエスの神に対する絶対の信頼と神のことばによって生きるという信仰の宣言がここにあります。
二、第二の試み(5ー8節)
『またたく間に世界の国々を全部見せ』と、ルカは、これが幻であることを暗示します。『世界の国々』には、当時ユダヤを支配していたローマ帝国も含まれます。
この誘惑は、イエスに政治的支配、権力による主権の確立を約束するものでしたが『私を拝むなら』という条件がついていました。イエスは申命記6章13節を 引用し『あなたの神である主を拝み、主にだけ仕えなさい』と書いてあると言って誘惑を退けられました。権力よりも『苦難のしもべ』(イザヤ52章13節ー 53章12節の道を選ばれたのです。この世はまさに悪魔の支配下にあるように思われます。
しかし、『地とそれに満ちるもの、世界とその中に住むものは主のものである』
(詩篇24篇1節)。
三、第三の試み(9ー13節)
悪魔は聖書に精通しており、聖書のことばを用いて誘惑することもできます。悪魔が用いた聖句は詩篇91篇11、12節ですが、ここでも悪魔は『すべての 道で』を欠いて、本来の意味を曲げた。詩篇の作者の意図は、わざと危険を冒して神の守りを試すことを勧めるのではなく、みこころに従って歩む道にはどこに でも神の守りがあるという約束です。
イエスが引用されたのは、荒野で『主は私たちの中におられるのか。おられないのか』と言って主を試み たイスラエルの民について、主が『あなたの神、主を試みてはならない』と諭したことばです (出エジプト17章、申命記6章17節)。ここでもイエスは、神を信じ、神に従うべきことを強調されたのです。