天の神ご自身が、私たちを成功させて下さる。(ネヘミヤ2章20節)
一、城壁工事と外からの妨害(3章ー4章)
深夜密かに調査のうえ、ネヘミヤはエルサレムの城壁工事を開始しました。
(聖書辞典などには、ネヘミヤ時代のエルサレムの地図が掲載されています。神殿を中心にして、幾つかある稜線をはうようにしてぐるりと町全体を取り囲む工事であり、地区ごとに担当者を割り振って、全体で作業を進めていった様子が確認できます。)
工事が進むにつれて、周辺民族からの妨害も強くなって来ました。その中心には、ホロン人サヌバラテ、アモン人で役人のトビヤ、アラブ人ゲショムなどがいました。それぞれ周辺に住むサマリヤ人やアモン人、アラブ人であり、しかもその地域を担当する役人として帝国から任命されている人物であったと思われます。恐らく立場上はネヘミヤと同じレベルであり、王に直接訴えることの出来る資格のある者たちでした。
二、内部からの不満(5章)
こうして外からの妨害に加えて、工事の進展につれて、イスラエル人自身も待遇上の不満を抱いた。ネヘミヤは、神への祈り、防衛体制の強化、率先しての清廉な生き方の通して、内外の困難を乗り越えていった。
『異邦人のそしりを受けないために、私たちは神を恐れながら歩むべきではないか』
(5章9節)というネヘミヤのことばは、いつの時代でも信仰者の生き方の基本です。パウロやペテロがその手紙の中で繰り返し初代教会に指導したのも、異邦人の中で神の民がきよく生きることによって神をあかしすることの大切さでした。
三、城壁の完成と神礼拝(6章15、16、8章1ー12節)
やがて城壁は完成し、総督ネヘミヤと学者エズラは、民を集め、律法に基づく信仰生活の指導をしました。
その中には、罪をこう改めることだけではなく、神の前に喜びをもって生きるという信仰の積極的な面の指導も含まれていました。
天地の創造主である神は、ご自身との交わりを喜ぶものとして、人をお造りになりました。そして幕屋(神殿) を通して、ご自分の民の中にあって共に生き、導いてくださるお方であることを示されました。帰還後の人々は、こうした神を信じる信仰生活を、エルサレムに再建された第二神殿を中心として進めていったのです。
こうして神の民は、やがて来られる救い主の到来に向かうことになります。エズラとネヘミヤの活躍をもって、旧約の歴史はそろそろ閉じることになります。そして数百年後、ローマ帝国の時代を迎えて、救い主イエスがおいでくださるのです。