『恐れるな。わたしがあなたを助ける』(イザヤ41章13節)
一、ミデヤンの地へ(出エジプト2章11ー25節)
成人したモーセは、同胞のヘブル人がエジプト人に打たれるのを見て民族意識と正義感を刺激され、そのエジプト人を撃ち殺した(11、12節)、発覚を恐れ、身の危険を感じたモーセは、遠くミデアンの地 (シナイ半島の南東部)へ逃れました。使徒7章23節によると四十才の時でした。彼はミデアンの祭司レウエルの家に迎えられ、その娘チッポラと結婚しました(16ー22節)。『それから何年もたって、エジプトの王は死んだ』(23節)。この王は、第18王朝ならばトゥトメス三世、第19王朝ならラメセス二世の父セトス一世と思われます。過酷な労役にうめくイスラエル人の悲痛な叫びは、確かに主に届きました。『主はイスラエル人をご覧になった。神はみこころに留められた』(25節)、同じように、
神は今、キリストにおいて私たちをごらんになり、苦難の中にある私たち一人一人を『みこころに留められ』ています。
二、召命を受けるモーセ(3章)
羊の群れを追って神の山ホレブ(シナイ山と同一視されている)に来たモーセは、燃える柴の炎の中に主の使いが現れるのを見ました。燃えている柴が焼け尽きない不思議な光景が神の現臨を示していました(2節)その柴の中から『今、行け。わたしはあなたをパロのもとに遣わそう。わたしの民イスラエル人をエジプトから連れ出せ』と神が語りかける。召命の御声を彼は聞いた (10節) 。そのような任に相応しくないとたじろぐモーセに、
神は『わたしはあなたとともにいる」と約束し『わたしがあなたを遣わすのだ』と重ねていわれた(11,12節)。『今、私はイスラエル人のところに行きます』と答えるモーセに、
神は御自らを『わたしはある』という者である」と告知された(13、14節)そのように告知された神は、過去、現在、未来にわたり永遠に存在するお方です。このお方が、具体的な指示を与え、さらに将来への展望まで示して、モーセをエジプトへ遣わされるのです
(15ー22節 )。時に (モーセは80才) で、彼は40年間ミデヤンの地で過ごしたことになります。
三、ためらうモーセに代弁者が与えられる(4章1−17節)
イスラエル人をエジプトから連れ出すことは、エジプトの強大な権力を知れば知るほど、
不可能に思われてきます。モーセはイスラエル人が信用してくれないだろうと思った(1節)。
主は彼に三つのしるしを示されたが (2ー9節)。それでも彼は『私は口が重く、舌も思いのです』と言ってためらい (10節) 、主が語るべきことばを授けてくださるというのに、『どうかほかの人を遣わしてください』と辞退します (12,13節)。そんなモーセに、主は怒りを燃やしつつも、兄アロンをエジプトから呼び出して彼の代弁者として与えることを約束し、信仰による決断を迫られたのです(14ー16節)。神の忍耐強い説得によって、モーセは、自分の地位や力ではなく、神の助けを頼みとして使命を果たそうと導かれたのです。