バンクーバー便り(2010/8)

バンクーバー便り ‘10.8月日本は今なお猛暑が続いているとのこと、暑中お見舞い申し上げます。この暑いとき、日本には高校野球の楽しみがありますね、私も日本にいたとき高校野球を堪能したものです。又、暑い折の“かき氷”のおいしかったこと。こちらに来てからそれらの楽しみがなくなったことをとても残念に思っています。しかしこちらでも夏になると楽しいことがいくつかあります。その一つは取立てのブルーベリーを両手にすくい口に流し込みほうばってむしゃむしゃと食べる、そのおいしいこと言葉に言い表すことができません。バンクーバーならではの醍醐味です。私には8月になるともう一つの楽しみがあります。それは“吹奏楽講習会”に参加することです。B.C.州の音楽(吹奏楽)指導者が集まり一週間にわたり開かれます。百 人を超えるバンドリーダーが集まり、演奏技能の講習を受けるのであります。朝8時半に始まり午後4時半に終わります。講習会の後半はビッグバンドのジャズ 演奏となります。クラッシック演奏は皆神妙な顔で参加していますが、ビッグバンドのときは皆リラックスして演奏を楽しみます。私の隣で演奏している中年過 ぎのおばさん風の女性実に上手に演奏します。初見でかなり難しいジャズ曲を間違いなくしかも見事なスイングで演奏します。私はその見事さに舌を巻きまし た。こんなおばさんがこんなに上手に吹くとは、さすがカナダだと、感心しました。演奏の合間の会話で知りました。何とこの女性、BC大学のサキソホンの教 授なのでした。道理でうまいはずです。参加者はBC州各地から集まります。遠方からの参加者はホテルに泊まって参加です。私の場合は幸いにも会場に歩いて でも参加できる距離でしたので毎日楽に参加できました。この講習会、おいしい昼食つきでわずか50ドルですから、本当に安いものです。この間、山ほどの楽 譜の資料や、CDをいただくことができました。私は毎日この演奏を楽しみ幸せでした。こんな私を見て家内は『あなたこんなことで自分を楽しませていていい の?あなたのやるべきことがほかにあるのではないですか?』私はとてもうしろめたさを感じました。伝道のためもっと励まなければ、音楽を楽しむことが、何 か本来の務めからの“逃避”ではないかと責められてしまうのでした。そういえば私の40年に亘る伝道者生活で、この後ろめたさをいつも感じてきたもので す。しかしそんな気持ちの中、私のサキソホンが私の人生を特色付け、助けてくれたのではないか、と開き直ったりしています。ところでこの講習会の 参加者は今年百名と少しでした、昨年は2百ほどでしたから、半減したわけです。私はなぜかと主催者に尋ねました。そうしたら、インターネットの発達で、受 講しなくてもよいようになったからではないか、ということでした。ですから毎年このときお会いし交流を楽しむことができたにもかかわらず今年はお目にかか れず実に寂しかったです。このインターネットの発達は人間と人間の交流を遮断してしまうのではないか。これからこうしたITの発達で人と人との交わりが途絶えるとは嘆かわしいことではないか。こちらはもう秋の気配が感じられるようになりましたが、日本はまだまだ暑さが続くようですのでどうかお体大切に、神様のお恵みと祝福がありますように、                バンクーバー  村松勝三  ’10年8月20日

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