ダビデとゴリアテ

 見よ。神は私の救い。私は信頼して恐れることはない(イザヤ12章2節)

一、巨人ゴリヤテ(?サムエル 17章1−11節)
ペリシテ人に戦いを挑まれたサウルは、迎え撃つためエラの谷に布陣し、両軍は谷を隔てた山の上に対峙しました。
 ペリシテ軍から、身長6キュピト半のゴリヤテが代表戦士として出てきました。『キュピト』は中指の先から肘までの長さ(44センチ)「半』は『一手幅」で、手のひらを広げた時の親指の先から小指の先までの長さ。身長およそ3 mの大男です。
 四十日間、早朝と夕暮れに姿を現して、一騎打ちの相手を要求するゴリヤテに、イスラエル側は手も足も出ない有様でした。なにしろ、剣や槍を持つのはサウル王と息子のヨナタンだけ (13章22節)。ゴリヤテの武具との比ではない。神の臨在を失ったサウルの指揮のもと、イスラエル軍が意気消沈したのも当然です。

二、戦うダビデ(12ー40節)
 ダビデの三人の兄たちも従軍していました。この兄たちの食事を届け、安否を問うために陣営を訪れたダビデは、図らずもゴリヤテの暴言を聞き、他人事のように戦いの報償をうわさし合うイスラエル軍の情けない姿を目撃しました。彼は、ゴリヤテの挑戦をイスラエルの神に対する侮りと捉え、激しい衝撃を受けました。『生ける神が先立ってくださるではないか』と促しても、イスラエル軍には何の反応の見られません。
 大胆にもダビデは、ゴリヤテとの一騎打ちを宣言します。最初は反対したサウルも『獅子や熊の爪から私を救い出してくださった主は、あのペリシテ人の手からも私を救い出してくださいます。』と言って、手強い相手との勝負は実証ずみだと主張するダビデの熱心をとどめることは出来ませんでした。
 武具を貸そうというサウルの厚意を、ダビデは『慣れていないから』と辞退します。『民のだれよりも、肩から上だけ高かった』(10章23節)サウルの武具を身につけても大きすぎると言っていません。あの油注ぎを受けた時から、かなりたくましく成長した姿が想像できます。借り物の武具を脱いだダビデは、自分の杖を持って川を下ると、なめらかな石を五つ袋に入れ、石投げを手にしてゴリヤテに近づきました。

三、ダビデの勝利(41ー58節)
 一騎打ちの前哨戦ともいうべき見事な舌戦が展開されます。ゴリヤテは自分の神々によってダビデを呪います。ダビデは『すべての国は、イスラエルに神がおられることを知る』ために『イスラエルの戦陣の神、万軍の主の御名によって』立ち向かいました。この戦いが主の戦いであり、主が必ず勝利を取ってくださることを、信じて疑いませんでした
 一振りの剣も持たず、石投げと一つの石で、ダビデはゴリヤテを倒したのです。借り物で付け焼き刃の武器は役に立ちません。先の曲がった羊飼いの杖も投石機も、彼が日頃から使い慣れたものです。神に信頼する日常の信仰こそ勝利の秘訣なのです。

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