『主によって語られたことは必ず実現すると信じきった人は、何と幸いなことでしょう』 (ルカ1章45節)
一、マリヤの決意(ルカ1章26−56節)
ガリラヤのナザレという町にマリヤという若い娘が住んでいました。マリヤは大工のヨセフの婚約者で、希望と喜びにあふれた幸せな日々を送っていました。
ところがある日、マリヤの前に天使が現れて思いもよらないことを告げたのです。
28ー33節を読んでください。天使の唐突なことばに当惑するマリヤの気持ちは当然なことでしょう。結婚していない自分に子供が生まれるなんて、とんでもないことです。人生がめちゃくちゃになってしまうかもしれません。けれど、マリヤは天使のことばを信仰をもって受け入れました。29節では当惑していますが、34節では疑問を神に問いかけ、38節を見ると、神への信頼と謙遜な献身が表されています。
その後マリヤは、エリサベツを訪問します。二人は親戚なのです。エリサベツは、マリヤを『女の中で祝福された方』『私の主の母』と呼びました。この時にマリヤが神を賛美したことば (46ー55節) は『マリヤの讃歌』と呼ばれています。この讃歌の中で、マリヤは自分を用いてくださる神に心から感謝しています。旧約聖書をよく学び、救い主の到来を熱心に待ち望んでいたマリヤは、自分が救い主の母親に選ばれた時、深い信仰をもってすべてを聖霊の働きに委ねたのです。
二、ヨセフの決意(マタイ1章18-21節)
婚約者マリヤから妊娠を告げられたヨセフの驚きと苦しみは、いっそう深いものでした。当時のイスラエル社会では、婚約は法律上は結婚と同じでしたから、婚約中の妊娠はは姦淫と見なされ、死刑の対象になりました。ヨセフはマリヤを愛していたので、これから起こるであろう困難を考えて悩みました。しかし、人間の考えや一時的な感情でこの問題を解決しようとはしませんでした。19節を読みましょう。マリヤが社会的に傷つけられないうちに、静かに去らせようとしたのです。
神はこの時ヨセフに御使を送って、苦悩から救い出されました。ヨセフは夢の中で御使の語りかけを聞きました。20、21節を読みましょう。ヨセフは、マリヤの妊娠が聖霊によるものであることを信じました。天使のことばは人間として到底信じられないものでしたが、信仰によって正しく理解し、みこころと受け入れ、マリヤを妻として迎え入れる決心をしたのです。
三、神の計画の実現の協力者(マタイ1章22ー25節)
マリヤとヨセフは与えられた神のみことばを受け入れ従う決心をし、結婚しました。きっと二人はそれぞれに与えられた神のみことばを語り合い、祈り合って、それが間違いなく神のみこころであると確信したのでしょう。
22、23節を読みましょう。23節にはイザヤ7章14節の引用です。マリヤとヨセフの信仰と従順によって、神の預言が実現するのです。神は人間の協力がなくても、ご計画を実現することがおできになります。しかし、あえてご計画の実現の協力者としてマリヤとヨセフを用いられたのは、みこころに従う素晴らしさと祝福を私たちに教えてくださるためでした。