(1)『何故旧約が』
多くの信者が旧約について殆ど知っていないことは不思議です。
大部分の信者が旧約全書はおろか重要な出来事についてさえも知らない、
又、旧約に神が非常に興味深く取扱われている色々な顕著なる人物についてさえも、
何の知識もない事は実に意外である。
大多数の信者にとって、旧約は過ぎ去った歴史とみなされているので、現在の信仰と何の関連もないと考える。
彼等は旧約はなくても、新約だけで充分であると考えている。
これは大きな間違いである。私は旧約聖書が如何に今の信仰にとって重要であるかを示したいと思う。
旧約聖書の簡単な理解の方法、出来事に含んでいる内容、特別な人物に顕されている神の御旨を
学ぶ時信仰は深くなり、強固となる。実に旧約聖書はすべての土台である。
新約の土台は旧約である。新約に述べられている救い、信仰は旧約に土台をおいている。
(2)『旧約聖書の重要性』
a、
新約には旧約中の28の各巻より直接、引用されたものが280ある。その他、旧約の 引用は376以上ある。
故に、直接、間接を合わせると新約における旧約よりの引照は、ざっと1000を数えるであろう。
b、
イエスはご自身の教えにおいて、常に旧約に述べられている史実及び人物を自由に引用された。
これは、旧約の事実及び人物の真実性を証明するものであり、 又イエスの教えの基礎が旧約おかれていたことを証明する。
そこで、次にキリストが明確に引照されたところを幾らか記そう。
c、
キリストの試み、 マタイ4:1~11
*最初の試みにおいて
キリストは申命記
8:3(人はパンだけで生きるのではない。人は主の口から出るすべてのもので生きる)の引照を以て、
サタンに返答された(マタイ4:4)。
*第二の試みに於て
再びキリストは申命記6:16(主を試みてはならない)の引照によってサタンに返答された(マタイ4:7)。
*第三の試み
申命記6:13(あなたの神、主を恐れて、これに仕えなければならない)の引照によってサタンに返答された。 (マタイ4:10)。
註1、
これ等三回の試みにおいて、キリストはどの時にも『と書いてある』と述べているのは、
旧約の引照によって返答されたからである。
註2、
ある方は何故、新約と旧約との引照に同一の言葉が用いられていないかと疑問をもつかもしれないが、
これは二つの異なる国語から訳されているので、多少、相違はあっても意味は同じであるからこの点について疑問はない。
d、山上の垂訓において
イエスは出エジプト記20章にある様々な戒めより引用して山上の垂訓を語っておられる。
これ等の命令を更に充分に理解させている。 (マタイ5:21~27)
e、キリストは様々な旧約の事実を引照している。
*マタイ12:3~5 ダビデが供え物のパンを食したこと(第1サムエル21:6)
*マタイ12:39~41 預言者ヨナの物語り (ヨナ書)
*マタイ12:42 シバの女王の物語 (第1列王10:1?10)
*マタイ15:7~9 キリストについて預言したイザヤの引照(イザヤ29:13)
*マタイ19:4、5 創造の記事 (創世記2:24)
*マタイ24:31、32 復活に関して (出エジプト4:15)
f、マタイの福音書において七回イエスが云われた言葉、
『読んだことがないのか』 マタイ12:3
5節 19:4、 21:16、 21:42、 22:31、 24:15
斯くの如く、イエス似従う者は旧約聖書を読まねばならぬことを表している。
g、マタイの福音書においてのみ見い出す言葉。
『と云われた事の成就するためである』この言葉は十二回記されている。
これによりマタイの福音書におけるキリストの証言が完全に旧約の預言に基礎をおいている事を明確に表している。
即ち、マタイ1:22、2:15、17、23、 8:17、 12:17 13:35、 21:4、26:54、56、 27:9、 35節
第二部
第一部に於て旧約聖書の重要性と新約聖書は旧約に立脚している事を十分に示して来た。
そのために、多くの引照を旧約より引用した。旧約に述べられている多くの人物は
新約人物は新約における出来事の基礎として用いられている。
旧約を現代まで保存された一冊の古書として見るのでなく、新約のして、また解く鍵として、
繰り返し、繰り返し、読むようになるよう、つとめて簡単な言葉でこの研究続けていこう。
(1)旧約に関する知識
(W)創世記1:1~11章 世界の歴史と神との関係
(X)創世記
12章 マラキの最後の書は世界の他の国々より選ばれたイスラエルの子達と称せられた選民の歴史である。
(Y)モーセの五書
創世記、出エジプト記、レビ記、民数記、申命記までの五巻には特別の律法、規則、イスラエルの
子達に対する宗教上の戒め が記されている。
(Z)ヨシュア記、士師記、サムエル記第一、第二、列王記第一、第二、歴代誌第一、第二、
エズラ記、ネヘミヤ記にはイスラエルの子達のカナン時代、バビロン捕囚時代、
及び帰還後の歴史が記されている。
(WW)ルツ記、ヨブ記、詩篇、箴言、伝道者の書、雅歌、は詩書である。
(WY)大預言書 イザヤ書、エレミヤ書、哀歌、エゼキエル書、ダニエル書
(WZ)小預言書 ホセア、ヨエル、アモス、オバデヤ、ヨナ、ミカ、ナホム、
ハバクク、ゼパニヤ、ハガイ、ゼカリヤ、マラキの12書である。
これ等は非常に短いのでこの名称がある。
(2)旧約におけるキリストに関する顕著な預言
A、
創世記3:15 「わたしは、おまえと女との間に、また、おまえの子孫と女の 子孫との間に、敵意を置く。
彼は、おまえの頭を踏み砕き、おまえは、彼のかか とにかみつく」
註1、3:15、
a、(蛇)サタンと女(エバ)
b、サタン(悪魔)の子孫と女の子孫
c、女の子孫はサタンの頭(権威)を踏み砕く。
d、サタンは女の子孫のかかと(肉体)に噛み付く。
註2=子孫の重点をおいている。
子孫を強調している。
エバよりキリストに至るまでずっと正しい子孫がおこされている事が分かる。
故に、私共はこれを「子孫の本通り」と言う。
次ぎの如し。
エバ 創世記3:15、 アベル 創4:2、 セツ 創6:8~10
アブラハム 創12:1~4、 イサク 創17:19~21、
ヤコブ 創28:10~14、 ユダ 創49:10、 ダビデ サムエル2.7:5~17
キリスト マタイ1:18~25
B、キリストの誕生 イザヤ7:14、 処女より降誕 マタイ
1章の記事を参照C、キリストの称号 イザヤ9:6
*不思議な助言者 *力ある神 *永遠の父 *平和の君
D、キリストの誕生地
*ミカ5:1、2 ベツレヘム
E、キリストの裏切り者 イスカリオテのユダ
詩篇41:9、「私が信頼し、私のパンを食べた親しい友までが、。私にそむいて、かかとをあげた」
(3)旧約に記された主なキリストの型
(A)犠牲として供えられた小羊
イザヤ
53:7「彼は痛めつけられた。彼は苦しんだが、口を開かない。
ほふり 場に引かれて行く小羊のように、毛を刈る者の前で黙っている雌羊のように、彼は口を開かない」
数えきれないほど神にささげられた小羊として記されている。
(B)イサク 創世記22:1~11
(C)ノアの箱舟 創6:14
(D)青銅の蛇 民数記21:5?9
旧約には実に多くのキリストの型が表されているがこれはある見本である。